コロナ関連の新聞記事から

淡々とテレワークで日々が過ぎてゆく。コロナ関連の朝日新聞記事の印象。『ホモ・デウス』がベストセラーのヘブライ大学教授・歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリ氏はさてどんなコメントをするだろうかと期待して4月15日のインタビュー記事を読んだがやや皮相的だった。民主主義と独裁主義のどちらがコロナを制するか、長い目でみれば民主主義、という。対処法の是非はともかく、歴史家ならではのまなざしで、パンデミックを引き起こした西洋近代至上主義とグローバル化の臨界(?)についてのコメントを聞きたかった。ベルリンに暮らす作家多和田葉子氏の14日の記事は手放しでメルケル首相を称賛。ポピュリストが大幅に支持者を失った、という一節が印象深い。それは好ましい変化ではないか。面白かったのが14日の絵本作家、五味太郎氏の子供たちに向けた「休校はチャンスだぞ」。冗談じゃない。学校がないことで切実なぎりぎりの生活を強いられている人からみればとんでもない台詞である。でも五味さんの言葉に棘はなく、本質を見つめる暖かい視線がある。「だって、学校も仕事も、ある意味でいま枠組みが崩壊しているから、ふだんの何がつまらなかったのか、本当は何がしたいのか、ニュートラルに問いやすいときじゃない?」という覚醒への促しは、大人たちにも無縁ではない。今は、「引き算」の有効性が問われているときではないか。要らなくでも済むものは何なのか。生きるために必要なものは何なのかを考えるときなのかもしれない。生き延びたいな。だって空気はこんなに澄んできたのだから。