ゲルハルト・オピッツ ピアノリサイタル

小金井の宮地楽器ホールでゲルハルト・オピッツのリサイタルを聴く。「悲愴」「月光」「テンペスト」「熱情」というオール・ベートーベンプロ。クラシックのピアノをホールで聴くのは何年振りだろうと手帳をめくると、2005年10月アルド・チッコリーニのリサイタルを東京文化会館小ホールで聴いている。おそらくそれ以来である。そのときのプログラムは前半がベートーベンの31番と「熱情」、後半がファリャだったが、前半はいかにもイタリア人のベートーベンだなあと思ったことを記憶している。さてオピッツだが、ウィルヘルム・ケンプの弟子として有名であり、小金井に来るというので一度聴いてみようと思い出かけたわけだ。1953年バイエルン生まれの67才の巨匠はマスクをして袖から現れ、マスクを外して聴衆に一礼して弾き始めた。オピッツを聴くのは初めてである。しっかりした造形感と豊かなアゴーギグのある演奏は、なるほどケンプが称賛したのもうなずける。4曲ともすばらしかったが、初期のソナタはもうちょっとペダルを控えてもよいかなと思った。テンペストの第3楽章が一番よかった。ここは神がかっていた。それからアンコールで弾いたブラームスのop.116のインテルメッツォ。オピッツのブラームスはとりわけ評価が高いが、他にもいろいろ聴いてみたくなった。