ゴーギャン展

 勤め先の秋祭りがひと段落。風邪をひいたが、がんばって竹橋に出かけた。株式仲買人として成功していた所帯持ちの男性が芸術と旅の呪いにかかって放浪の末、旅先の熱帯の島で死ぬ。その軌跡はフランス植民地空間の内部を辿るものとはいえ、刺激的だ。作品とおなじくらい、ゴーギャンの人生は興味深い。1才から6才までペルーで暮らした画家は幼い時からすでに旅の人生を運命づけられていたのだろうか。ブルターニュタヒチ、マルキーズ諸島、ゴーギャンの軌跡を辿ってみたいものだ。
 フォルムを囲むあの黒い縁取りラインが顕著にあらわれる『洗濯する女たち、アルル』をじっくり眺め、ゴーギャンが「印象派」と一線を画した地点を再認識する。ゴーキャンのエッセンスを堪能できる展覧会だが、そのコレクションの少なからぬ部分が、金融バブルでたっぷり儲けた会社所蔵であることもまた再認識させられた。