2011-02-01から1ヶ月間の記事一覧

ケイジャン&ブードゥー

WC研、大辻さんのナビで「アメリカ地域」に延びる「フランス語圏文化」のふたつの様相を見る。丁寧なレジュメが勉強になり、ありがたい。 ひとつはFlaherty監督のLuisiana Story(1948)米78分。合衆国南部ルイジアナのバイユーを舞台にした「ドキュメンタリー…

サルトリウスへ

今日は汐留の日仏文化協会にてグリッサンが亡くなってから最初の輪読会。巨大なビルや迷路のような地下通路を辿ってようやく到着。いつものように『コエ・ド・ラマンタン』を少しずつ舐めるように読む。そのあとはカレッタの一角にあるジャック・ポットで牡…

解釈という余韻

昨日の朝日夕刊に載った高階秀爾の評論「〈薄霞〉の曖昧さ」を読む。芭蕉の「野ざらし紀行」の一句、 春なれや名もなき山の薄霞は、初稿では「朝霞」だったのが「薄霞」に改められた。朝霞の方が季節の情景が引きしまって伝わるのにあえてぼんやりした後者が…

グリッサン追悼5

2月3日付Le Mondeに載ったル・クレジオの〈Lumière créole sur Faulkner〉を読む。グリッサンの『フォークナー・ミシシッピ』(1996)評である。同書はバトンルージュやニューヨークの大学で教鞭をとった時代の産物である。フォークナーを介してグリッサンは…

グリッサン追悼4

晩年のグリッサンにもっとも寄り添っていたパトリック・シャモワゾーの追悼文〈L'AFFECTUEUSE REVERENCE〉を読む。グリッサンが故郷マルティニクを語るとき、その夢見られる姿と現実の姿un pays rêvé/un pays réelはつねに重ね描きされ、植民地・海外県の社…

グリッサン追悼3

institut du tout-mondeの掲示によれば、フランス時間の今日、グリッサンはマルティニク島のディアマンに埋葬される。norah-mさんがアップしてくれた写真を見ると、まるでsel noirの詩人がその土の下に眠っているようだ。もういちどあの島を訪れる機会はある…

グリッサン追悼2

2月4日Le Mondeのルネ・ド・セカッティによる追悼文。まさにグリッサンは自らの個人性に閉じ籠ることのない「分有と抵抗」の作家であった。「普遍的モデルの偽りの透明性」に抵抗する「不透明さ」の価値を語り続けた彼は「ウォルコットより詩人ではなく、シ…

グリッサン追悼1

このところグリッサンへの追悼文などに目を通して過ごす。 西谷修先生のブログを読むと1996年駒場シンポ、2001年日仏での加藤周一さんとの対談が懐かしく思い出される。臆病者の自分は結局眼前の巨人に一言も声をかけることができなかった。 ★ 中村隆之くん…

エドゥアール・グリッサン死去

本日午前6時(日本時間午後2時)、パリ15区の病院でマルティニク島出身の詩人、小説家、思想家のエドゥアール・グリッサンが亡くなったことを知る。82歳。遺骨はマルティニクに埋葬されるそうだ。昨年末からかなり容体が悪いとの噂を聞いてはいたが...。…

「歌は情に属する」と池澤夏樹は言った(朝日夕刊)。同感である。ぼくは「あなたがた」を心の底から軽蔑している。 ★ 管啓次郎『斜線の旅』読売文学賞受賞! おめでとうございます。傑作です、これは。