2010-01-01から1年間の記事一覧

楽空墨 LakouZumi 2

15時半開始、終了は18時をまわっていた。吉祥寺のSaund Café dzumi、まさかこの時代にフリージャズ系の「ジャズ喫茶」が存在するとは思わなかった。また来よう。「群島‐世界論/カリブ音響編」と銘打たれた今福龍太&星埜守之によるカリブ海文化=音楽トーク…

アニメの芸術性

大塚さんのナビでWC研初のアニメ映画特集。まず日本の若手作家の短編ををいくつか見る。最初の銀木沙織が一番不気味だった。カフカ的。三角芳子の『Googuri Googuri』(2010)は「大きな古時計」的メルヘン。子供に見せたい。大山慶はベーコンのタブローを思…

タルコフスキー&Ayuo

WC研、仁平さんのナビでタルコフスキー『アンドレイ・ルブリョフ』(1964‐66)。185分の完全版! 66年のソ連初公開は4日で打ち切りだったそうだ。てっきり宗教色のためかと思ったら、ロシア人が異邦人(タタール人)にやられ過ぎているところが当局に批判さ…

空気

午前中駒澤公園へ。息子は父親と「大人のサイクリングコース」を走るのを楽しみにしていたのだが、到着してみるとなんと「世田谷ハーフマラソン」なる大会が催されていて、公園を周遊するサイクリングコースは本日閉鎖。子猿はしばし茫然と立ちつくしたが、…

ドガ展

10時すぎに横浜美術館に来たら、もう長蛇の列なのに驚いた。ドガって結構地味な画家だと思っていただけに意外である。こんなに混んでいるのはみんなAPECを避けてたからなのか? 高齢のご婦人の姿が目立つ。横浜美術館、できた当時は草っぱらの真ん中にぽつん…

光の帝国

午後、休暇を取り駒場図書館で翻訳を続ける。台風が過ぎた後の強烈な陽光が、台風のおかげですっかりきれいになった大気を貫いて眩しく室内に差し込む。窓辺の学生があわててカーテンを引く。しばらくすると、席の左手上方に広がる窓の外に、透明感あふれる…

哲学への権利

明治大学駿河台リバティタワーでのシンポ「哲学とは何か?大学とは何か?」を聴講する。西山雄二監督のドキュメンタリー『哲学への権利――国際哲学コレージュの軌跡』は、1983年デリダらがパリに創設した名高い半官半民の研究機関の紹介である。西山さんはこ…

ベンダ・ビリリin日比谷野音

World Beat 2010。ジュルディ・カマラ、ヴィクター・デメに続いて最強のバンドが登場した。完全にノックアウトである。このエネルギー、2006年に渋谷クワトロで聴いたアマジーク・カテブ率いるグワナ・ディフュージョン以来の衝撃であった。

ベンダ・ビリリ!

渋谷イメージフォーラムで噂のフィルムをついに見る。凄い! コンゴ民主共和国の首都キンシャサのストリート・ミュージシャンたちによるバンド結成ストーリー。2009年にアルバムを発表し成功するまでの5年間を追う。2010年5月カンヌ映画祭を熱狂に包んだ奇跡…

リズ・ゴーヴァンさん講演

日本ケベック学会2010年全国大会に足を運ぶ。文京区の拓殖大学。『多様なるものの詩学序説』にグリッサンとの対話が収録されているモントリオール大学教授のリズ・ゴーヴァンさんの講演を聞いた。ケベック文学は馴染みがないのでなかなか理解できずに終わっ…

キース・ジャレット・トリオ

うなだれて帰った。不安だったが、やはりその通りだった。キースにはもうオーチャード・ホールいっぱいに音楽を響かせるエネルギーはなかった。PAを使ったら、あるいはもっと小さい箱で聴いたらひょっとして違って聞こえたかもしれない。ジャック・デジョネ…

管啓次郎×港千尋

青山ブックセンターでのトークショー。管さんの『Agend'Ars』が発売される。それとともに初期詩集『熱帯詩』も配布された。スライドもすばらしかった。2つの詩集、これからじっくり味わうことにしよう。

セネガル・パパ

子守。昼ごろ目黒の図書館に向かうため環7を走っているときに突然後ろのチャイルドシートから「ちっち!」の叫び声。慌てて井の頭通りに折れてコンビニ前に停車。そこでうっかりキーを閉じ込んでしまう。嗚呼。JAFに電話すると1時間かかるとのこと。読む本も…

ゆく夏

暦の上では今日で一区切り。あっという間に過ぎた8月。昨日は本郷に調べ物に出かけた。三四郎池から聞こえる蝉しぐれを全身に浴びる。周囲の建物が視界に入らぬように目を池から伸びあがる木々に向ければ、そこは爆発的な夏のエネルギーを放射する温帯のジ…

ブリューゲル版画の世界

図書館に調べ物に行った帰り、今日までだと気がついて慌ててBunkamuraへ。最終日なのでごった返している。油絵に比べて版画は目を近づけてじっくり見なければならないので一枚の作品あたりの観賞できる人数が限られ、なかなか進まずうんざりする。かつてLPが…

生のかたち

午前中、プールで子守。泳ぎ終わったあと脱衣所の洗面台でいつまでも水を流して遊んでいて「もう終わりだよ」と言っても聞かない息子を真剣に怒る。3才でこれだ、先が思いやられる。 午後は仕方のない用事で九段下、日本教育会館に缶詰。途中頭がぼーっとし…

技術とモノについて

WC研。管さんのナビで、ロジャー・ドナルドソン監督、アンソニー・ホプキンス主演、ニュージーランド・アメリカ合作の『世界最速のインディアン』(2005)を観る。すごく面白かった。舞台は1960年代、1920年代に製造されたオートバイ「インディアン・スカウ…

真夏の平林寺

このところ、妻子を実家に帰し部屋にこもってひたすらIngoldの翻訳を続ける。でも今日の午後は子守当番。35度の炎天下、外遊びは無理だろうと車で清瀬の郊外型大型児童館(?)「コロボックル」を目指す。だが、着いてみたら火曜定休、あちゃー。しかしこの…

シャガール

初めて東京藝術大学美術館に入る。ポンピドゥー・センター所蔵作品で構成される"chagall de chagall"という謳い文句に恥じぬ充実した展覧会。ちなみにパネルの仏文(今回は英語じゃないね!)に出てきた".... de ...."というフレーズ、グリッサンのテクスト…

ペドロ・コスタ公開レクチャー

女子美の相模キャンパスまで小旅行。まだその作品を見たことのない1959年リスボン生まれの映画監督ペドロ・コスタの公開レクチャーへ。『ヴァンダの部屋』(2000)のエンディングが紹介された。リスボンの貧民街を舞台にした非常にスタティックでストイック…

沈める島

今日は休日。相変わらず暑いが風があるのでちょっと楽だ。午前中、妻と恵比寿に出かけ海南友子監督『Beautiful Islands』を見る。水曜は1000円なので嬉しい。南太平洋のツバル、ベネチア、アラスカ最西端の島シシマレフという3つの島に温暖化による水位上昇…

小布施にて

中尾山温泉に一泊。鶯のさえずりで目を覚ます。今日は小布施へ。おぶせミュージアムで荻原克哉展を観る。古い町並みが保存されたピトレスクな小布施の一角にある瀟洒で自然に包まれた美術館。ここ20年ほどの歩みを展望する大きな回顧展で、テンペラと鉛筆に…

シャルナス・バルタスと雷雨

今日のWC研は金子さんのナビで1964年生まれのリトアニアの鬼才、Sharnus BartasのThree Days(1991)、The Corridor(1994)を観る。モノクロ、長回しで凍てついたリトアニアの風景が浮上する。ホテルや都市空間のなかに亡霊のように佇む貧しき人々の表情の執…

鉄と即興

造形作家、青木野枝さんを迎えた講演会。作品を交えたトーク、実に興味深かった。鉄という一見融通の効かないようにみえる素材を自由に操り空間を構成していく青木さんだが、どういうアイディアにするかは会場に行ってから決めるのだそうだ。なんという即興…

砧公園にて

子守の日。昼過ぎ砧公園へ車で向かう。世田谷美術館区民ギャラリーにてArt Skaall 2010を観る。永吉聖のTerminal Velocityのシリーズはかっこいい。2点のヴァリエーションが展示されていたが、アクリルの作品が気に入った。でも息子にとって、美術館=楽しい…

影の反オペラ

神楽坂のシアターイワトで高橋悠治のコンサートを聴く。充実した一夜であった。1曲目、高橋悠治作曲『さらば佐原村』は辻まことの唯一の詩による歌曲。僕にとって辻まことは山歩きのエッセイストであった。陰影に富むメゾ・ソプラノの波多野睦美は何と音程の…

原宏之『世直し教養論』

教養は閑暇なくしては身につけることができない。だがそれは単なる知の楽しみ、博識、人格陶冶といったものを意味してはいない。本書が提起する「教養」の射程とは、世界・社会の情勢を判断するための情報を適切なリテラシーで解釈し、投票などの行為に反映…

ドビュッシーのスピリット

渋谷、公園通りクラシックスでAyuo and Seashellを聴く。Debussy特集である。Pierre Louysの散文詩集『ビリティスの歌』にインスピレーションを得たドビュッシーは歌曲、語りと室内楽(草稿のみ)、ピアノ連弾のフォーマットで音楽作品を書いた。高橋鮎生は…

ポスト印象派展

前々から仕事が早く引けるこの日に行こうと思っていた。ところが集中豪雨の夕方、池尻大橋のドトールでソファーに腰を下ろしたら動けなくなった。いかん、余りにも疲労がたまっている...。アイスコーヒーにデニッシュを頬張り、どうしようか迷ったがよい…

Keith Jarrett / The Köln Concert

年に数回しかない一人の静かな夜、アンプを温め、シャワーを浴びて、ゼンハイザーのヘッドフォンで『ケルン・コンサート』のLPを実に久しぶりに聴き通す。1975年1月24日のライブ録音。キース・ジャレットが到達したまぎれもない高みの記録である。26分にわた…