シャガール

初めて東京藝術大学美術館に入る。ポンピドゥー・センター所蔵作品で構成される"chagall de chagall"という謳い文句に恥じぬ充実した展覧会。ちなみにパネルの仏文(今回は英語じゃないね!)に出てきた".... de ...."というフレーズ、グリッサンのテクストに出てきたときよくわからなかったのだが今回やっとニュアンス呑み込めた。なるほど。シャガールは1887年に旧ロシア帝国のヴィテブスク(現ベラルーシ)に生まれたロシア系ユダヤ人で、のちにフランスに永住し1985年に亡くなった。芸術家の一生を全体的に見渡せる展覧会だったが、ゴンチャローワ、ラリオーノフ、カンディンスキーロシア・アヴァンギャルドの画家たちの作品も織り混ぜられ、シャガールと時代の交錯をみてとることができる。《立体派の風景》はシャガールキュビスムに接近した作風で新鮮だった。若き画家もまたそこに住んだベル・エポックのモンマルトルの集合アトリエ「蜂の巣」の写真も興味深かった。ユダヤ文化、ルボーク(民衆版画)、ネオ・プリミティスム、フォービズムなどの影響を吸収して、シャガールは独特の説話的な夢と記憶の世界を描いた。一番よかったのは、お馴染み《空飛ぶアトラージュ》。シャガールの鳥。