2015-11-01から1ヶ月間の記事一覧

プラトン『イオン』あるいは吟唱詩人の言語行為

ジュリアンのスラムに接して、プラトンの対話篇『イオン』を思い出した。古代ギリシャのむかし、一人の吟唱詩人(ラープソードス)がいた。彼の得意とするのはホメロスの朗詠。アスクレピオスの祭礼での詩の朗読大会で一等賞を勝ち取り、意気揚々と一人の賢…

slamの詩人ジュリアン・デルメール

昨日、早稲田大学現代フランス研究所主催のワークショップ。Julien Delmaire氏による講演とパフォーマンス。すばらしかった。まず日本に出発する土曜日に勃発したパリの襲撃事件にふれ、この事件が暴力の連鎖にならぬように祈るとのメッセージ。(しかしフラ…

ひるまないで

MARUZEN&ジュンク堂のブックフェアが再開という記事を読む。「闘います!」という店員の非公式アカウントからのツイートの批判が殺到してしばらく様子見となっていたフェアである。どうかひるまないでがんばってほしい。もしSNSがなかったらもっと鈍感でいら…

ミヒャエル・エンデ『モモ』

毎年ティーン・エイジャーに紹介する一冊の本。昨年度は木村友祐『聖地Cs』だったが、今年は『モモ』にした。こんな具合。 ★ ―――2015年はドイツの偉大なる児童文学者、ミヒャエル・エンデの没後20周年ということで、1973年に書かれた傑作『モモ』を推薦しま…

コーヒーの話

先日、勤め先でティーンエイジャーとともに、17世紀ロンドンのコーヒーハウスの社会的機能と現代のSNSを比較する英文を読んだのがきっかけで、本棚から臼井隆一郎『コーヒーが廻り世界史がまわる』(中公新書)を引っ張り出して読みはじめた。きのう吹きっさ…