2012-01-01から1年間の記事一覧

今年もおしまい

いろいろひと段落。おととい、毎年1,2回行く治療院で鍼を打ってもらい代謝がよくなった。今日は朝から大掃除。ここ数年ほったらかしの窓ふきを徹底的にやる。薬剤を使わずに酢を希釈してそれでごしごしこするとぴかぴかになったがこちらもへとへと。それ…

アミド・モカデム氏講演会

今年最後のコンフェランスは東大駒場での言語態セミナー。南太平洋のフランス領ニューカレドニアからやってきた哲学者・人類学者、アミド・モカデムさんの講演会に出かけた。星埜さんのナビでニューカレドニアへの文学的入門を果たす。1774年ジェームス・ク…

『銀河鉄道の夜』 in 渋谷

5月21日の福島公演とはまた大きく変貌した朗読劇『銀河鉄道』。去年のクリスマス・イブに続いて今年もサラヴァ東京でのパフォーマンスを観る。今日はなんと昼夜2公演。ぼくは15時からの昼の部に入ったが大入り満員。子供連れもちらほら。今日のバージョンは…

ユン・ホソップ氏講演会

青山の国連大学の地球環境パートナーシッププラザで、韓国の国民大学で環境デザインを教えるHoeseob Yoon教授のレクチャーを聴く。ユンさんとお会いするのは3回目。70才とは思えぬ若々しさ。お馴染みのTシャツエコ・ペイントのパフォーマンスに加えて、エコ…

世界文学におけるオムニフォンの諸相

越境、移民、植民などによって母語から引き離された経験から生み出されるさまざまな文学の姿は、現在「世界文学」と呼ばれるものの重要な内実となっているといえるだろう。そこにはさまざまな場所が反響し響き合う。今福龍太と管啓次郎によるそうした新しい…

キューポラのある街

今日のWC研は浦山桐郎監督の『キューポラのある街』(1962年)だった。ブルーリボン賞に輝く名作。脚本は今村昌平との共同執筆。強烈だった。舞台は朝鮮戦争の休戦協定が結ばれた1953年から数年後とおぼしき鋳物工場の街、埼玉県川口。キューポラとは銑鉄を…

シャモワゾー・ウィーク4- - 口承性とエクリチュール

シャモワゾー・ウィークの最終日、アンスティチュ・フランセ東京での吉増剛造との圧倒的な対談。詩人の言葉を反復すればまさに「奇蹟的な夜」だった。ふたりの、あるいはふたつの言葉のみぶりの信じられない交錯に茫然となった。吉増剛造の仕事の意味をよう…

シャモワゾー・ウィーク3- - カタストロフィと正義

午前中の仕事を終えてダッシュで東京駅へ。山手線ホームから12分の乗り換えで13時半発のぞみ35号に駆け込み一路京都に向かう。15時50分着。駅からダッシュでバス停へ。16時の市バスに飛び乗って16時半すぎ立命館大学衣笠キャンパスに到着。ふう、なんとか間…

シャモワゾー・ウィーク2- - 戦士と反逆者――クレオール小説の美学

久しぶりの本郷キャンパス、日が暮れてから湯島方面から構内に入ろうとして苦労する、ずいぶんモダンになった建物もあれば、昔ながらの建物もあり、不思議な時間のエア・ポケットに入り込んだような気分になった。 塚本先生、星埜先生のナビで、今日のお題は…

シャモワゾー・ウィーク1- - 文学の力

パトリック・シャモワゾーが日本にやってきた。今週計4回の講演が東京と京都で行われる。全部聴くことにした。月曜日の今日、新宿紀伊國屋サザンシアターでの初日は堀江敏幸さんの司会で大江健三郎氏との対談。1200円払って満員のホールへ。となりには偶然野…

キルメン・ウリベ『ビルバオ−ニューヨーク−ビルバオ』

四谷のセルバンテス文化センターでキルメン・ウリベと管啓次郎の対談&朗読会を聴く。管さんの名ホストとすばらしい朗読で非常に充実したひとときを過ごした。セルバンテス文化センターに始めて足を踏み入れたが、赤を基調としたとてもお洒落な場所だ。 金子…

ラブレイズ 『ドラゴンは踊れない』

中村和恵さんの眼の覚める名訳で、カリブ海の「不良小説の古典」を読了する。大きなトリニダード島と小さなトバゴ島のふたつの島からなるトリニダード・トバゴが独立したのは1962年。小説の舞台はそれから数年後の首都ポート・オブ・スペインのスラム街カル…

河よ

WC研、今日は河内さんのナビでジャン・ルノワールを2篇。一本目は渡米後の『河』(1951)。インドでのロケ。設定は第一次大戦後。黄麻のマット工場を経営する裕福なイギリス人家庭の娘たちの初恋を描く。ジャン・ルノワールの初カラー作。河内さんの充実した…

カフェ・ズミの夕べ

中村さんの『フォークナー・ミシシッピ』出版記念会にお呼ばれして吉祥寺のカフェ・ズミへ。今福先生、星埜先生、上野先生らの貴重なお話しを聞いて、たっぷりワインを飲んだ。マスターの和泉さんの「骨の話」は面白かった。バスク文学の新星キルメン・ウリ…

ジプシー音楽の夜

タラフ・ドゥ・ハイドゥークスとコチャニ・オーケスターのジョイントコンサートを聴くべく錦糸町のすみだトリフォニーホールに向かう。台風17号接近のさなか、無事に帰れるかどうかスリリングな夜だった。両方とも生で聴くのははじめてである。結成20周年で…

Jobell and America

明治大学の泉校舎でカリブ海映画を見る。トリニダード・トバゴの小説家アール・ラブレイズの短編「ジョベルとアメリカ」を、娘のアシャ・ラブレイズら3人の子供たちが中心に映画化したもの(2005年)。のんびりした雰囲気がいい感じだったが、訛りの強い英語…

This Is Not a Film

勤め先の秋の祭りを無事終えて渋谷のイメージ・フォーラムへ。イランのジャファール・パナヒの『これは映画ではない』(2011)を観る。反体制活動により政府より20年間の映画製作禁止を宣告されたパナヒが自宅で密かに撮影した映像。2011年のカンヌで黄金の…

管啓次郎 『海に降る雨』

今日の夕暮れはひときわきれいだった。先週の土曜、やっと左足の「高下駄サンダル」から解放される。でも骨が以前の強度に戻るにはあと2カ月ほどかかるとのこと。もうしばらくはそろりそろりと歩かなくては。管啓次郎の第3詩集『海に降る雨Agend'Ars3』(左…

津田直写真展Storm Last Night / Earth Rain House

早目に仕事を切り上げて品川のキャノン・ギャラリーSへ。津田直のすばらしい写真展を見る。8日の管啓次郎とのアーティストトークが満員で入れなかったで今日になった。アイルランドのドネゴル、ディングル半島、アラン諸島、スコットランド北方のアウターア…

オープン、フォークナー

待望の中村隆之訳グリッサン『フォークナー、ミシシッピ』を熟読する。 アメリカ合衆国深南部ミシシッピ州に設定された架空のヨクナパトーファ郡を舞台に展開されたフォークナーの小説群。カリブ海のマルティニク島出身の黒人作家グリッサンが1996年に発表し…

en vélo

右足にふつうの靴、左足に折れた小指に力が入らないように工夫された高さ4センチほどの下駄のようなサンダルを履いてのろのろ、ぎくしゃく歩く日々。自由に歩行できるありがたさを思い知らされる。それで自転車に乗ることが多くなった。ペダル漕ぎは足の指…

骨折と夏休み

きのうの夕方、畳の部屋で子供とサッカーごっこをしていたときのことだ。ラバーボールを蹴ろうとした瞬間、障子の桟に左足をひどくぶつけてしまった。あまりの痛さにうずくまり、足を見たら小指が外を向いている。まずい、折れたかなと思い、救急で診てくれ…

『トリスタンとイゾルデ』2

ワグナーの『トリスタンとイゾルデ』前奏曲冒頭の有名な「トリスタン動機」。キーボードで弾いてみるとスムーズな半音階的進行が気持良い。ジャジーな響きだ。しかし2小節目のヘ-ロ-嬰ニ-嬰トの和音が「イ短調上のドッペルドミナント」だとする説明は譜面を…

『トリスタンとイゾルデ』1 

ヨーロッパ中世でもっとも名高い恋物語、世の掟も理非分別も超越して愛し合う情熱恋愛の神話、とは岩波文庫のカバー・コピーだが、多くのロマンスの例にもれず、本作にもさまざまなテクストのヴァリアントがある。ケルト起源とされるトリスタン伝説の現存す…

『狼が連れだって走る月』

少しずつ味わいながら通勤電車のなかで読んでいったが、ようやく読了。管さんのエッセイはとてもやさしい言葉づかいで書かれているものの、文は精緻に織りなされていて決して読み飛ばすことができない。難解な言い回しを使わずに綴られてゆく深く広々とした…

メロディ

今日のWC研は、なんと『小さな恋のメロディ』(1971)であった。ロンドンのパブリック・スクールの少年少女の恋のめばえを描くポエジー。マーク・レスターもトレイシー・ハイドもとってもかわいい。1971年、ぼくもダニーと同じ11才だった。全篇に流れる「メ…

『ルル』

先回のWC研で取り上げられた『ルル』についての覚書。テクストはF.ヴェデキント(1864−1918)によるルル2部作、『地霊・パンドラの箱』(岩波文庫、岩淵達治訳)。「地霊」は1895年に出版。「パンドラの箱」は1904年に単行本になるが猥褻文書として押収され…

暑い一日

今日は「さようなら原発10万人集会」に家族で行こうと思っていたのだが、息子が熱っぽくてなんだかぐったりしているので昼ごろ医者に連れて行く。夏風邪らしい。家族参加はあきらめて一人で代々木公園に向かう。着いたのは2時過ぎでもう主なスピーチはと…

太平洋の文化と神話

明治大学リバティアカデミー・オープン講座にでかける。第1部は文化人類学者、後藤明さんのレクチャー。南太平洋の航海術、創世神話、天文考古学といったスケールの大きな海の文化圏のお話しだった。ポリネシアのカヌーが小笠原や八丈島にまで伝わったという…

大黒屋にゆく

勤め先の仕事が忙しくなる夏が近づいてきた。恒例の部署の飲み会。昨年は浅草の「駒形どじょう」だったが、今年は京成八幡の「大黒屋」である。晩年の永井荷風が死ぬ前日まで、毎日かつ丼を食って酒を1合飲んでいたお店である。料理はどれもおいしかった。さ…