キューポラのある街

今日のWC研は浦山桐郎監督の『キューポラのある街』(1962年)だった。ブルーリボン賞に輝く名作。脚本は今村昌平との共同執筆。強烈だった。舞台は朝鮮戦争の休戦協定が結ばれた1953年から数年後とおぼしき鋳物工場の街、埼玉県川口。キューポラとは銑鉄を溶かす直立炉のことである。万歳の掛け声とともに「ユートピア北朝鮮へ引き上げてゆく朝鮮の民の姿が痛ましい。この映画のなかで、ぼくはあの長屋の畳の上で手足をぱたぱたさせている赤ん坊だった。上映の100分の間に差し出されたのは、映画のなかの時代とそれを観ている現在とを隔てる半世紀の時の流れ。それはまさに自分の生きてきた時間である。気の遠くなるような長さであると同時にわずか一瞬だった。刻印されるさまざまな出発点と終着点。信じられないほど変貌を遂げた社会と信じられないほど変わらぬ「学校」という空間の意味との何たるコントラスト...。揺るぎなき吉永小百合