2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ことばが音楽になるとき

勤め先のホールでの演奏会。間宮芳生『三色草紙』(1980)と湯浅譲二『児童合唱のための「擬声語によるうたあそび」』(1985)という2曲の女声合唱曲を聴く。前者はいわるゆベルカントではない日本人の発声法で歌われる、民謡やお囃しに溢れた曲。とても懐かし…

管啓次郎『本は読めないものだから心配するな』

エドゥアール・グリッサンからエイミー・ベンダーまで多くの翻訳を手がけてきた筆者の最新エッセイ集。強力である。さまざまな旅、読書、翻訳、教師としての経験を通じて筆者が語り続けるのは「文をつくること」と「文を読むこと」の根源的な意味である。世…

ロマとグリッサン

10月3日にワールド・シネマ研究会で取り上げたロマ(ジプシー)関係のノートを整理している。ロマという人々は「交通」のなかにしか存在しない。さまざまな場所で、自分たちより長くそこに住んでいる人々から迫害を受け続けてきた民。トニー・ガトリフの傑作…

幼児失踪

いい天気ののんびりした休日に肝を冷やした。息子を連れて散歩に出かけたのだが、いつもは母親に連れていってもらうお気に入りの児童館の隣にある公園に着いて、途中で買った巻きずしを食べようとしたら、お茶を買うのを忘れているのに気づいた。ベンチに座…

10月の2つのテクスト

管啓次郎『本は読めないものだから心配するな』を読んでいる。「触発」という二文字がふさわしい素晴らしい読書の時間。p.47に引用されている田村隆一の「見えない木」の一節と久々に再会した瞬間、自分の身体のなかに或る感覚がたちまち蘇った。それは20代…