2023-03-01から1ヶ月間の記事一覧

タジョ『神(イマーナ)の影 ルワンダへの旅ーー記憶・証言・物語』を読む

辛い読書を終えた。ガエル・ファイユの『小さな国で』はひとつの物語であるのに対して『イマーナの影』ではルワンダのジェノサイドの犠牲となったおびただしい人々の証言がつづられている。ひとつひとつのエピソードは短いがその悲惨さは文章の長短に関係な…

原宏之『ラプサンスーチョンと島とねこ』(書肆水月)

慈しみに満ちた本を読んだ。「ひとりで居るのは嫌いだった。ふたりでもぱっとしない。家族三人がみんな揃って居るのが好きだった。三年前、不調となりその後衰えて居間ではほとんど寝ているばかりとなってからも、わたしと妻が楽しそうに団欒していると、満…

言葉の翼に乗って――ホメロス『オデュッセイア』(上)

『イリアス』のあとは『オデュッセイア』に移る。テキストはこちらも松平千秋訳の岩波文庫。『イリアス』との語り口の差異は一目瞭然。奇想天外なエピソードにあふれていて、僕にとっては『イリアス』より面白い。ホメロスは一人ではないという説も十分にう…

ヴェロニク・タジョ講演会

15時より駒場18号館でヴェロニク・タジョVéronique Tajoさんの講演会を聴く。『神(イマーナ)の影』(エディション・エフ、2019年)を訳された村田はるせさんが解説された。恥ずかしながら本作はまだ読んでいない。タジョさんは1955年、コートジヴォワー…