2016-02-01から1ヶ月間の記事一覧

滝口悠生『死んでいない者』

一人の老人の通夜に集まる親戚の人間模様が淡々とつづられる。そのありさまはまるで、弔いという儀式がひとつの神経細胞の中心で発火し、その光が周囲のシナプスへと連係されていく一瞬が浮かび上がるかのようだ。その死がなければ決して確認されないであろ…

フォースター『小説の諸相』

昨年読了したE.M.Forster, Aspects of the Novel(1927)のノートをようやく取り終えた。テクストはペリカン・ブック。5年ほど前に仕事場で大量に廃棄されたペリカン・ブックを何冊かもらったのだが、そのなかにフォースター『小説の諸相』が混じっていた。昭…