2011-01-01から1年間の記事一覧

野田秀樹による「真夏の夜の夢」

桐朋学園芸術短期大学演劇専攻ストレートプレイクラス試演会を観る。宮崎真子演出による野田秀樹版「真夏の夜の夢」。野田さんの芝居を観るのは1998年のRolling Stone以来。1992年に日生劇場で上演された「真夏の夜の夢」、観たような記憶があるが定かではな…

TARO LOVE展

ようやく腰もよくなった。雨まじりの日曜日の午後、渋谷の西武デパートの展覧会を覗きに行った。「岡本太郎と14人の遺伝子」と副題がついてる。岡本太郎といえば、3月までは井の頭線に乗り換えるときにいつも『明日の神話』を見上げていたものだ。あれを見て…

Bala Dée(le son du bois)

先週末から腰痛が悪化しコルセットをつけるはめになった。どうしようか迷ったがやや回復してきたので西麻布へ向かう。日仏アフリカの混合ジャズ・ユニットBala DéeをSuper Deluxeで聴く。スケールの大きな〈全―世界〉音楽会だった。まずはA.sax&metal-cl&vo.…

ペレ――ハワイの神話

日曜出勤で仕事をしたあと、渋谷のサラヴァ東京へ。楽しみにしていたAYUO&管啓次郎の音楽劇「ペレ――ハワイの神話」、予想どおり大入り満員である。タヒチからやってきてハワイ島プナの火山地帯を司る女神ペレとその妹であるフラの女神ヒイアカ、フラの達人…

EddieIzzard & 『豚と軍艦』

久しぶりに参加したWC研、原さんのホストでまず1962年生まれのイギリスのスタンドアップ・コメディアン、エディ・イザードのパフォーマンス、"Dress to Kill"。ヒトラーからアメリカまで「帝国主義」を笑いのめす。女装もなんかおじさんっぽくて笑える。これ…

エメ・セゼール『ニグロとして生きる』

エメ・セゼールについての貴重な文献を読了する。3部構成で、第1部はフランソワーズ・ヴェルジェスによるセゼール晩年(2004年)のインタビュー。詩人として、政治家として、植民地主義と戦いつつ海外県という現実を引き受けて生きたセゼールが自身の生涯を…

ボヘミアの響き

オーケストラの演奏会なんて何年振りだろう。松戸でチェコ国立ブルノ・フィルハーモニー管弦楽団を聴く。弦はいぶし銀の響き。1曲目はスメタナの『わが祖国』より「ボヘミアの森と草原から」。次がウクライナの若いピアニストを迎えてチャイコフスキーのピア…

ラファリエール講演会

飯田橋の日仏学院でラファリエール氏の講演会を聴く。めちゃめちゃ面白かった。文学はファンタスムだと開き直る態度がすがすがしい。「二グロ」をはじめとしてスキャンダラスな表現を次から次へと繰り出すのは、クリシェを消尽させようとする戦略である。ま…

沖至

入谷、なってるハウスで、フランス在住の伝説的なフリー・ジャズ・トランペッター沖至さんの演奏をはじめて聴く。高木幹晴(ds)、栗田妙子(pf)、瀬尾高志(bs)のトリオに林栄一(as)との2管フロント編成。1部は45分ほどの切れ目のないフリー・インプロビゼーシ…

『島の水、島の火』

管啓次郎の待望の第2詩集である。自然のエレメントへのまなざし。いや、求められるのはただ観るだけではなくそれを体感すること。そこから「詩」ははじまるのだから。「私の詩は私をつらぬく地、水、火、風の残響」(p.85)。地水火風の流動とともに震動する身…

インビクタス

チケットを頂き、クリント・イーストウッドの『インビクタス』(2009)を観る。ラグビー映画だった。舞台は1994年の南ア共和国。大統領就任直後のマンデラが低迷中のラグビー・チーム「スプリングボクス」を応援し、その活躍に白人と黒人の融和を賭ける。ス…

アイデンティティとランガージュ

午後、日仏会館で開催されているアジア・フランコフォン大学の講演会に出かけた。「アイデンティティとは何か」という問いに対してもっともスキャンダラスで魅力的な解答を提出する作家の一人、ダニー・ラファリエール氏の基調講演を聴く。そのあとり・カヤ…

カルミナ・ミュージック・ワークショップ

8月は旅行でお休みして久々に参加。参加者2名でさびしかったが、今回のお題もテクストに音楽をつけること。今日はフランス語に挑戦。Jean Tardieuの《Vacances》を使ってみた。テクストを自由に切り取ってコラージュのように即興的につなげることにした。ピ…

奥多摩浅間尾根

今日はお休み。台風15号接近で雨模様だが、奥多摩の山にでかけた。2007年の5月GW以来の単独行である。朝7時に車で出発、リヒテルが弾く平均律のカセットテープを聴きながらいい気分で永福町から首都高下り線に乗ってそのまま中央道に入り石川SAで一休みして…

笹久保伸×AYUO

しばらく滞留していたアイヌモシリから一気にペルー・アンデスの高地に吹き飛ばされた。渋谷公園通りクラシックスでのライブの第1部。ペルーに長く滞在しペルー音楽の専門家であるギタリスト笹久保伸とヴォーカルIrma Osnoのすばらしいパフォーマンス。Irma…

アイヌモシリの幻影4

ナラトロジーといえば、面白かったのが本多勝一『アイヌ民族』(朝日新聞社、1993年)である。この著名なジャーナリストは、本書では何とフィクション仕立てでアイヌの生活世界の叙述を試みる。500年前の釧路の架空のコタンにおけるハルコロという架空のヒロ…

アイヌモシリの幻影3

それにしてもアイヌの歌い語りのジャンルで興味深いのが「ヤイサマ」という即興歌である。ユーカラやウェペケレが固定した主題をもつ物語を語り演じる以上、演じ手による差異はあるとはいえ、コアとなる物語は設定される。いくつものパフォーマンスを通じて…

アイヌモシリの幻影2

阿寒のアイヌコタンを訪れたこともあって、この夏は「アイヌ文学」に少しく親しんだ。永遠の古典、知里幸恵編訳『アイヌ神謡集』(岩波文庫)、山本多助『カムイ・ユーカラ』、萱野茂『アイヌの昔話』(いずれも平凡社ライブラリー)。『アイヌ神謡集』の有…

アイヌモシリの幻影

息子のヘルニア手術は予定通り無事終了。反復的日常生活に戻った9月もはや半ば。8月14日から24日まで過ごした北海道の夏休みを思い出す。雨ばかりだったが涼しく快適な旅だった。 ★ 千歳空港で車を借りて出発。旭川、大雪旭岳、阿寒、釧路湿原、帯広中札内、…

ちび王子との出会い

昨日、今日と中野体育館に缶詰。汗びっしょりとなる。合間に管啓次郎訳の『星の王子さま』を読む。じーんときた。 ★ もしも大人であるあなたがこのニューバージョンを手にとった瞬間、先入観につかまってドン引きになってしまったとしたら、それはおそらくと…

吉増剛造ナイト2

午前中、車で成育病院へ。息子のヘルニア手術の日取りが9月1日に決まる。午後、郵便局で学資保険をどうしようかすったもんだ検討した末、結局やめる。家で夕食をとり、電動自転車にまたがってポレポレ東中野へ。夜の青梅街道を自転車でひた走るその行為は散…

吉増剛造ナイト

夕食後、妻の電動自転車を駆って意気揚々とポレポレ東中野へ。子供を乗せていなければアシストはほぼ不要である(坂でちょっと使ったが…)。21時、ついに吉増剛造との邂逅を果たす。7月30日〜8月19日にかけて行われる「予告する光」と題された吉松剛造全映像…

カブトムシとの生活

3日に西東京市の広大な造園家のお宅に一家でお邪魔した。友人のイギリス人竪琴弾きを招いた小さな親子コンサートの通訳を頼まれたからだが、その庭はすごかった。なんと昼間なのにカブトムシがわんさかいるのである。クヌギかクリかなにかの木をゆするとぼた…

恒川邦夫先生講演会

ここ1週間ほど39度を超える熱を出していた息子だが、今朝ようやく37度台に下がった。一昨年の夏休みの悪夢の再現かと思われたがほっと一息。それで午後早稲田へ出かけることができた。恒川先生がご自身の半生を振り返られた、Paul Valéry, Créole, Traduttor…

藤部明子さん新作

東京のZEIT=FOTO SALONの『芸術と冒険』展に出品された藤部さんの新作8点を見る。どれもすばらしい。3.11以後を真剣に考えさせるスティルと文章。アリゾナの風景に特に引きつけられる。広大なパースペクティヴのなかに点在する人家が米粒のようだ。自然…

『サルトリウス』より(2)ドーテル

『サルトリウス』ガリマール版45頁に登場するアンドレ・ドーテル。1900年に生まれ1991年に死去したフランスの小説家。ソルボンヌで哲学士の学位を取り、リセで哲学教師をしながら小説を書き続けた。Le soleil du désert(1973)の邦訳『荒野の太陽』(天沢退二…

『サルトリウス』より(1)マローリー

グリッサンの『サルトリウス』の訳読が今年の目標だけど、そこに引用されるいろいろな書物へと読書がどんどん逸れていってなかなか進まない(仕事のストレスや飲み過ぎのせいもあるけど...)。その脇道で、他では出会いようもない新しい本たちを知る。た…

カルミナ・ミュージック・ワークショップ

駒沢オリンピック公園で開催されている第1回太平洋文化芸術祭にいくつもりだったが、息子が発熱し、見送る。午後、プールでひと泳ぎしてAYUO音楽教室へ。今日は持ち寄った詩に音楽をつける。僕以外の3人の参加者はみな自作を用意してきたが、今の僕には詩…

HIBAKUSYA 世界の終りに/日本の大転換

WC研。室谷さんのナビで鎌仲ひとみ監督『HIBAKUSYA 世界の終りに』(2003)を見る。多くの賞を取ったドキュメンタリーだが、今こそこの作品をふり返るときだ。湾岸戦争で劣化ウラン弾の放射能に苦しむイラクの人々、広島・長崎の生き証人、マンハッタン計…

太平洋の島々に生きる人々

今日も涼しい一日。だが仕事で非常に消耗することがあった。精神的につぶれないようにしたい。世界は複数あるのだと自分に言い聞かせる。夕方から明治大学のオープン講座に出かけたがどうも夏休みになってから疲労感が少しずつたまっていく感がある。後藤明…