インビクタス

チケットを頂き、クリント・イーストウッドの『インビクタス』(2009)を観る。ラグビー映画だった。舞台は1994年の南ア共和国。大統領就任直後のマンデラが低迷中のラグビー・チーム「スプリングボクス」を応援し、その活躍に白人と黒人の融和を賭ける。スポーツにうとい自分にとって南アにおいてラグビーが白人富裕層、サッカーが貧しい黒人のスポーツであるという事実は新鮮だった。スポーツをきっかけにふたつの人種が一体となってひとつの国を体感するというストーリーはたしかに感動的だけれど、「主人公」は白人主体のスプリングボクスのラガーの肉体。黒人たちの生活のディティールや重層的な人種問題はまったく描かれない。あまりにも整然とした、現実離れした美しいおとぎ話だった。