2021-07-01から1ヶ月間の記事一覧

マイルス・デイヴィスのほうへ(5)チック・コリアという繊細さ Ⅲ

しかし1970年の5月頃、マイルスは新たなキーボード奏者をスタジオに呼び寄せる。キース・ジャレットである。そして7月、NYのフィルモア・イーストでマイルス・デイヴィスはチックとキースのダブル・キーボードを従えて4日間のパフォーマンスを行う。LP2枚組…

プルースト読書会 vol.7

「喪に服したユダヤ人が頭に拝をかぶるようにしゃくりあげはじめた」(120頁)という一節にぎょっとした。ステルマリア夫人との逢瀬が叶わぬものとなった「私」が絶望する場面なのだが、つねにクールな語り手である「私」が示した感情の激発がいかにも唐突で…

城南島に三島喜美代を見に行く

東京湾に浮かぶ城南島になぜか最近縁がある。最初に訪れたのは6月中旬。鮫洲試験場で免許更新の手続きを済ませたあと、せっかくここまで来たのだから海を見に行こうと適当に走っていたら、城南島に入っていた。広い道路は閑散としていて物流倉庫が立ち並ぶ殺…

マイルス・デイヴィスのほうへ(4)チック・コリアという繊細さ Ⅱ

そして1969年8月、ついにBitches Brewが制作される。Pharaoh's DanceとBitches Brewはテオ・マセロとマイルスによる入念なテープ編集の見事な成果である。「ビッチェズ・ブリュー」はライブでも演奏されたが、チック・コリアとジョー・ザビヌルのダブル・キ…

マイルス・デイヴィスのほうへ(3)チック・コリアという繊細さ Ⅰ

60年代末のマイルス・デイビスの劇的な変貌期にキーボードを担当し重要な役割を果たしたのがキース・ジャレットの前任者、チック・コリアである。そのチックも今年の2月に鬼籍に入ってしまった。チックが在籍していた頃のマイルス・バンドの演奏にはキースが…