2012-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『トリスタンとイゾルデ』2

ワグナーの『トリスタンとイゾルデ』前奏曲冒頭の有名な「トリスタン動機」。キーボードで弾いてみるとスムーズな半音階的進行が気持良い。ジャジーな響きだ。しかし2小節目のヘ-ロ-嬰ニ-嬰トの和音が「イ短調上のドッペルドミナント」だとする説明は譜面を…

『トリスタンとイゾルデ』1 

ヨーロッパ中世でもっとも名高い恋物語、世の掟も理非分別も超越して愛し合う情熱恋愛の神話、とは岩波文庫のカバー・コピーだが、多くのロマンスの例にもれず、本作にもさまざまなテクストのヴァリアントがある。ケルト起源とされるトリスタン伝説の現存す…

『狼が連れだって走る月』

少しずつ味わいながら通勤電車のなかで読んでいったが、ようやく読了。管さんのエッセイはとてもやさしい言葉づかいで書かれているものの、文は精緻に織りなされていて決して読み飛ばすことができない。難解な言い回しを使わずに綴られてゆく深く広々とした…

メロディ

今日のWC研は、なんと『小さな恋のメロディ』(1971)であった。ロンドンのパブリック・スクールの少年少女の恋のめばえを描くポエジー。マーク・レスターもトレイシー・ハイドもとってもかわいい。1971年、ぼくもダニーと同じ11才だった。全篇に流れる「メ…

『ルル』

先回のWC研で取り上げられた『ルル』についての覚書。テクストはF.ヴェデキント(1864−1918)によるルル2部作、『地霊・パンドラの箱』(岩波文庫、岩淵達治訳)。「地霊」は1895年に出版。「パンドラの箱」は1904年に単行本になるが猥褻文書として押収され…

暑い一日

今日は「さようなら原発10万人集会」に家族で行こうと思っていたのだが、息子が熱っぽくてなんだかぐったりしているので昼ごろ医者に連れて行く。夏風邪らしい。家族参加はあきらめて一人で代々木公園に向かう。着いたのは2時過ぎでもう主なスピーチはと…

太平洋の文化と神話

明治大学リバティアカデミー・オープン講座にでかける。第1部は文化人類学者、後藤明さんのレクチャー。南太平洋の航海術、創世神話、天文考古学といったスケールの大きな海の文化圏のお話しだった。ポリネシアのカヌーが小笠原や八丈島にまで伝わったという…

大黒屋にゆく

勤め先の仕事が忙しくなる夏が近づいてきた。恒例の部署の飲み会。昨年は浅草の「駒形どじょう」だったが、今年は京成八幡の「大黒屋」である。晩年の永井荷風が死ぬ前日まで、毎日かつ丼を食って酒を1合飲んでいたお店である。料理はどれもおいしかった。さ…