2010-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ペドロ・コスタ公開レクチャー

女子美の相模キャンパスまで小旅行。まだその作品を見たことのない1959年リスボン生まれの映画監督ペドロ・コスタの公開レクチャーへ。『ヴァンダの部屋』(2000)のエンディングが紹介された。リスボンの貧民街を舞台にした非常にスタティックでストイック…

沈める島

今日は休日。相変わらず暑いが風があるのでちょっと楽だ。午前中、妻と恵比寿に出かけ海南友子監督『Beautiful Islands』を見る。水曜は1000円なので嬉しい。南太平洋のツバル、ベネチア、アラスカ最西端の島シシマレフという3つの島に温暖化による水位上昇…

小布施にて

中尾山温泉に一泊。鶯のさえずりで目を覚ます。今日は小布施へ。おぶせミュージアムで荻原克哉展を観る。古い町並みが保存されたピトレスクな小布施の一角にある瀟洒で自然に包まれた美術館。ここ20年ほどの歩みを展望する大きな回顧展で、テンペラと鉛筆に…

シャルナス・バルタスと雷雨

今日のWC研は金子さんのナビで1964年生まれのリトアニアの鬼才、Sharnus BartasのThree Days(1991)、The Corridor(1994)を観る。モノクロ、長回しで凍てついたリトアニアの風景が浮上する。ホテルや都市空間のなかに亡霊のように佇む貧しき人々の表情の執…

鉄と即興

造形作家、青木野枝さんを迎えた講演会。作品を交えたトーク、実に興味深かった。鉄という一見融通の効かないようにみえる素材を自由に操り空間を構成していく青木さんだが、どういうアイディアにするかは会場に行ってから決めるのだそうだ。なんという即興…

砧公園にて

子守の日。昼過ぎ砧公園へ車で向かう。世田谷美術館区民ギャラリーにてArt Skaall 2010を観る。永吉聖のTerminal Velocityのシリーズはかっこいい。2点のヴァリエーションが展示されていたが、アクリルの作品が気に入った。でも息子にとって、美術館=楽しい…

影の反オペラ

神楽坂のシアターイワトで高橋悠治のコンサートを聴く。充実した一夜であった。1曲目、高橋悠治作曲『さらば佐原村』は辻まことの唯一の詩による歌曲。僕にとって辻まことは山歩きのエッセイストであった。陰影に富むメゾ・ソプラノの波多野睦美は何と音程の…

原宏之『世直し教養論』

教養は閑暇なくしては身につけることができない。だがそれは単なる知の楽しみ、博識、人格陶冶といったものを意味してはいない。本書が提起する「教養」の射程とは、世界・社会の情勢を判断するための情報を適切なリテラシーで解釈し、投票などの行為に反映…

ドビュッシーのスピリット

渋谷、公園通りクラシックスでAyuo and Seashellを聴く。Debussy特集である。Pierre Louysの散文詩集『ビリティスの歌』にインスピレーションを得たドビュッシーは歌曲、語りと室内楽(草稿のみ)、ピアノ連弾のフォーマットで音楽作品を書いた。高橋鮎生は…

ポスト印象派展

前々から仕事が早く引けるこの日に行こうと思っていた。ところが集中豪雨の夕方、池尻大橋のドトールでソファーに腰を下ろしたら動けなくなった。いかん、余りにも疲労がたまっている...。アイスコーヒーにデニッシュを頬張り、どうしようか迷ったがよい…

Keith Jarrett / The Köln Concert

年に数回しかない一人の静かな夜、アンプを温め、シャワーを浴びて、ゼンハイザーのヘッドフォンで『ケルン・コンサート』のLPを実に久しぶりに聴き通す。1975年1月24日のライブ録音。キース・ジャレットが到達したまぎれもない高みの記録である。26分にわた…