沈める島

  今日は休日。相変わらず暑いが風があるのでちょっと楽だ。午前中、妻と恵比寿に出かけ海南友子監督『Beautiful Islands』を見る。水曜は1000円なので嬉しい。南太平洋のツバル、ベネチア、アラスカ最西端の島シシマレフという3つの島に温暖化による水位上昇が与える深刻な影響を描いたドキュメンタリーである。余計なBGMを使わず静かにフィルムは進む。ツバルの人々が集い歌い踊る映像が素晴らしい。何と幸せそうなんだろう。そして何と楽観的なことか。永久凍土が溶けだして海岸の2割の人々が住居を失ったシシマレフの人々が早々と島を去る苦渋の決断を下した様子はそれとは対照的だ。しかし狩猟民族である彼らがその生活習慣を維持しながら移住するのは簡単なことではなさそうだ。気候変動はこれから新しいディアスポラを生み出すのだろうか。われわれの想像力は新たな状況に対応することを迫られている。
  ガーデンプレイスのカフェで遅めの昼食をとり、午後は早稲田へ。夕方から恒例の読書会、GlissantのLa cohee du Lamentinを読み進む。ここのところはラテンアメリカ美術作家の批評が続く。詩的で相変わらず難解な批評文を解読する作業は骨が折れるが、知らない画家や彫刻家の作品に出会うのは楽しい。