シャルナス・バルタスと雷雨

 今日のWC研は金子さんのナビで1964年生まれのリトアニアの鬼才、Sharnus BartasのThree Days(1991)、The Corridor(1994)を観る。モノクロ、長回しで凍てついたリトアニアの風景が浮上する。ホテルや都市空間のなかに亡霊のように佇む貧しき人々の表情の執拗なクローズアップ。Three Daysではわずかに存在した痕跡のような台詞はThe Corridorではほぼ消失する。アクション、音楽、ことば、ストーリー…およそ映画が駆使できるはずの要素を切り捨てて、静物画のような静けさで時間を刻むバルタスの詩学。それだけに音楽の溢れるダンスパーティのシーンの何と鮮やかなこと。母国を遠く離れたリトアニア人がこの映像詩を見たらどう感じるのだろう。ぼくにはすごくリアリティが感じられたが。
 今晩から1泊2日の長野旅行なのでディスカッションはパスして即帰宅。家族を車に乗せて関越をひた走る。夜中までに篠ノ井の温泉宿に到着しなければならないのだが、運悪く藤岡あたりで雷雨に遭遇。まず闇に沈む西の空に幾筋もの巨大な雷光が走る。息子は大喜び。そのあとバケツをひっくり返したような雨が来た。ワイパーをフル稼働しても前が見えない。自然の圧倒的なエネルギーの前に自動車はしばし木の葉のように翻弄された。