鉄と即興

 造形作家、青木野枝さんを迎えた講演会。作品を交えたトーク、実に興味深かった。鉄という一見融通の効かないようにみえる素材を自由に操り空間を構成していく青木さんだが、どういうアイディアにするかは会場に行ってから決めるのだそうだ。なんという即興性に満ちた造形術! 「鉄」と「軽み」という相反する要素が織り成す信じられない空間構成を次々にスライドショーで見せていただく。直島や豊島の瀬戸内芸術祭、越後妻有アートトリエンナーレなどの出品を通じて、自然や過疎の集落における芸術行為の可能性と課題を考えさせられた。「作品は永久になくてもよい」。「見る」という行為を開拓する重要性。芸術と社会のインターフェースをいろいろ考えさせられた。