青木野枝展「霧と鉄と山と」

昼過ぎに家族3人で府中美術館に向かった。青木野枝さんの作品にはじめて出会ったのは10年前、美術を専攻する高校生たちへのレクチャーのときだった。鉄という素材でなんと軽やかに空間を構成するのだろうと感嘆した(2010/07/20「鉄と即興」)。翌年1月に東日本橋のギャラリー・ハシモトでの個展(2011/1/29「寒い日」)で見て以来、久しぶりの青木さんの彫刻展だが、今回もすばらしかった。これらをどうやってここで組み立てたのだろうと想像しながら、日常の用途から解き放たれた素材によるのびのびとした自由な造形を楽しんだ。一方チェルノブイリでの印象から生まれた白い石膏の重たい作品もあった。美術館へ行くと言われて今日も不機嫌だったUは作品リストの余白の鉛筆で何やら書きつけていたので見せてもらうと「何をしたいのかわからないが、これは風の通り道だ」とあった。なるほど。帰りにちょっと贅沢をして府中の三松でお寿司を食べて帰る。