沖至

 入谷、なってるハウスで、フランス在住の伝説的なフリー・ジャズ・トランペッター沖至さんの演奏をはじめて聴く。高木幹晴(ds)、栗田妙子(pf)、瀬尾高志(bs)のトリオに林栄一(as)との2管フロント編成。1部は45分ほどの切れ目のないフリー・インプロビゼーション。2部は3,4曲。最初はNight and Dayかな? 沖さんは朝顔がふたつついている不思議なトランペットと普通のトランペットを交互に吹いた。フリー・ジャズはこれまであんまり聴いてこなかったのでこれからだ。とにかく面白い。沖さんはマウスピースからこぼれおちる唇の震動そのものから楽器を経た音まですべて使う。林栄一さんのアルトサックスは濃密な音。バップからフリーまですごく広いボキャブラリーが次々に繰り出される。充実している。瀬尾さんのエネルギッシュなプレイにチャーネット・モフェットの姿がダブる。ひとりひとりがやりたいようにやりながらバランスをとって進行する音楽は、あるきっかけが相互触発によって増殖し、爆発し、うねる。聴く方にとってはあまりにたくさんのことが同時進行するので気が抜けない。すごく刺激的な音楽的時間。