ラファリエール講演会

 飯田橋日仏学院でラファリエール氏の講演会を聴く。めちゃめちゃ面白かった。文学はファンタスムだと開き直る態度がすがすがしい。「二グロ」をはじめとしてスキャンダラスな表現を次から次へと繰り出すのは、クリシェを消尽させようとする戦略である。また、ハイチ出身でマイアミ、モントリオールへ移住しながら創作しつつ「私は日本人作家だ」などという不可解な物言いが興味を引くが、その点について、作家は読者の国に属しているのです、作家と読者は一枚の紙の両面なのだから、と切り返すラファリエール氏は、作品とは受容される場所で命を得るという文学の基本的な越境性を見据えているように思えて妙に説得力がある。それにジャーナリスムと文学言語のレジスターを切り替えながら太い声で人を敷きつける話術。いろんな意味でプロフェッショナルな人だと思った。そして人間的に懐が深そうだ。今日はダニーの話を聞けてよかった。