ボヘミアの響き

 オーケストラの演奏会なんて何年振りだろう。松戸でチェコ国立ブルノ・フィルハーモニー管弦楽団を聴く。弦はいぶし銀の響き。1曲目はスメタナの『わが祖国』より「ボヘミアの森と草原から」。次がウクライナの若いピアニストを迎えてチャイコフスキーのピアノコンチェルト。すばらしかったのが次の新世界交響曲である。フレージングのタメやアゴーギグに自然な生命感があふれている。ボヘミアのいぶきだ。指揮者のレオシュ・スワロフスキーはヴァツラフ・ノイマンの弟子。やはりご当地ものは強い。特に3楽章のスケルツォが目の醒めるような名演。はつらつとしたリズム。フルート奏者とその隣のオーボエ奏者は茶目っ気たっぷりで身体を揺らし視線を合わせてにっこりしながらフレーズを繰り出す。指揮者の棒も自在になりオケ全体が乗りにのっている。まさに至福のひととき。こういうときには、舞台にいるミュージシャンが無性に羨ましくなる。