奥多摩浅間尾根

 今日はお休み。台風15号接近で雨模様だが、奥多摩の山にでかけた。2007年の5月GW以来の単独行である。朝7時に車で出発、リヒテルが弾く平均律のカセットテープを聴きながらいい気分で永福町から首都高下り線に乗ってそのまま中央道に入り石川SAで一休みしてコーヒーを飲んでいると携帯が鳴った。あなた、山靴を玄関に忘れたわよ、という妻の声。自分の足元を見ると、サンダルだった。ありゃー、やっちまった。仕方ない、どこかでスニーカーか長靴でも買おう。修理しながら履いてたスケッチャーズもそろそろ限界だし、長靴ひとつあれば雪道ドライブで役に立つだろうし、いずれにせよ無駄な買い物ではない。圏央道あきる野ICで降りて滝山街道をうろうろしているとワークマンがあったので入ってみた。吉幾三のコンサートのチラシを眺めながら長靴を物色していると、ふとある棚が目にとまった。地下足袋の棚である。おおそうだ、これにしよう! 昔ちょっとだけ沢登りをやっていたことがあるのだが、沢登りの足ごしらえといえば地下足袋にわらじ。地下足袋は軽くて足裏と地面のフィット感が快適なのだ。780円の奴を履いてみる。こはぜが12枚ついていて足首もしっかりサポートしてくれる。いいねえ。迷わずこれを買う。
 五日市から檜原街道に入り、人里(へんぼり)のバス停を右に上がった広場に車を置き、ここから歩く。浅間尾根に突きあげる杉と桧の植林帯の急登に息が上がるが、次第にペースが整ってくる。足の裏に地面を感じる地下足袋はやはり快適である。靴を忘れたお陰でおもいがけず地下足袋walkingを楽しむことができた。人里峠から尾根を東に向かい、1時間半ほどで浅間嶺(903m)頂上に到着。去年の6月には反対側のルートから息子を背負子で担ぎあげたが、今日は一人。いろんなことをぼんやり考えながら自分のペースで歩ける独り歩きは楽しい。雨に煙る尾根道は静まり返って誰もいない。たくさんのガマガエルとキジに出会った。