河よ

WC研、今日は河内さんのナビでジャン・ルノワールを2篇。一本目は渡米後の『河』(1951)。インドでのロケ。設定は第一次大戦後。黄麻のマット工場を経営する裕福なイギリス人家庭の娘たちの初恋を描く。ジャン・ルノワールの初カラー作。河内さんの充実したハンドアウトと解説でルノワール監督の「川」へのこだわりがわかって興味深かった。半世紀以上前の、しかし基本的には何百年も続いているのであろうインドの人々の生活風景をじっくり味わった。ガンジス川(?)におりてゆくさまざまな階段の存在が面白かった。だかその一方ストーリーはおもに白人の館の内部で展開し、インドの民衆社会は残念ながら背景に後退している観がある。監督のインドへの情熱はしっかりと伝わって来るのだが。2本目はフランス時代の『ピクニック』(1936)。原作はモーパッサン。シルビア・バタイユブレッソンヴィスコンティなどそうそうたる顔ぶれがかかわっている。未完成作品でちょっと物足りない感じがしたけれど。
 それにしても今日は川づくしだった。完成したばかりの『北と南vol.3』に寄せられた管さんの川の詩。コロンビア川のカヌー冒険旅行から一時帰国した山田さんが見せてくれた映像。いろんな「川」が脳裏をよぎる。ラングストン・ヒューズのThe Negro Speaks of Rivers、グリッサンのレザルド川、ケベックに旅したときのセント・ローレンス河のあの広大な水面と野生の風...。そういえば、中学生のとき、ぼくは赤い鳥の「河よ」が大好きだった。