2012-01-01から1年間の記事一覧

プリペアド・ピアノ

カルミナ・ミュージック・ワークショップ。今日もアダム・ド・ラ・アルの音楽劇の曲のアレンジをすすめる。AYUOさんの手ほどきで初めてプリペアド・ピアノを弾く。弦にクリップやボルトや鉛筆などをつっこんで音を変調させる。すごく新鮮だった。最後にピエ…

ヘルツォーク 『忘れられた夢の記憶』

今日のWC研は充実していた。まず管さんのナビでヘルツォークの新作『忘れられた夢の記憶』(Werner Herzog; Cave of Forgotten Dreams, 2010)をみる。3Dではなかったが英語字幕。南仏のショーヴェ洞窟で1994年に発見された3万2千年前の最古の壁画をめぐ…

セルトー『日常的実践のポイエティーク』

しばらく前に読んだセルトーのノートを整理した。ミシェル・ド・セルト−は1925年に生まれ1986年に死去したフランスの宗教史学者でイエズス会士。原典はL'invention du quotidien---1.arts de faire,1980。邦訳は1987年でタイトルなぜか『日常的実践のポイエ…

アンドレ・ドーテル『悲しい村』

しばらく放っておいたAndré Dhôtel, Le Village pathétique(1943)をガリマールのフォリオ版で読了。フランス北部からベルギーにまたがるアルデンヌ地方の風土を礎に創作した作家。パリ近郊に暮らす25才のジュリアンは大学を卒業したあと定職につかず文学を志…

『銀河鉄道の夜』in 福島

朝7時半仕事場の青砥にて金環日食をみる。完璧なオレンジ色のリングに思わずうなる。あたりがすーっと薄暗くなるのがスリリングだった。午後、仕事を早目に切り上げて上野に向かう。15時40分のやまびこ67号に飛び乗って一路福島へ。17時11分着。バスで福島音…

スコリモフスキ 『出発』

WC研、早川さんのナビでイエジー・スコリモフスキ『出発』(Le départ、1967年)を見る。モノクロのヌーベルバーグ。ブリュッセルが舞台とはいえ、久々にフレンチな世界。字幕を見ながらフランス語リスニングのよいお勉強。たまにはこういうのもいいね。必…

keith Jarrett solo 2012

渋谷のオーチャード・ホールは満杯である。すごいもんだなと思う。いつものように数分から十数分の短いインプロビセージョンの連鎖。19時開始。前半は7曲(?)。1.テクスチュアが複雑な無調の音楽。クロマチックな動き、さまざまな声が流れのなかから浮上…

ジャン・ジオノ『丘』

管さんが4月22日の読売新聞書評で取り上げていた『丘』(山本省訳、岩波文庫、原文1929年)を読んだ。強烈である。オート・プロヴァンスの丘陵に囲まれた小さな集落に突然異変が訪れる。泉の枯渇、山火事、子供の病気...。それらは「丘」の怒りであり、そ…

ジャクソン・ポロック展

午後休暇をとって竹橋の国立近代美術館へ。楽しみにしていたポロック展。圧倒的だった。生誕100年ということで日本で初めての回顧展。1930〜40年代の初期の作品に初めてふれたが、アメリカン・インディアンの強い影響がうかがえる赤色と楔形が特徴的ないくつ…

詩と音楽

14時より明治大学お茶の水キャンパスにて「詩は何を語るのか?」と題されたシンポジウムと朗読会。出会ったきらめく言葉たち。新井高子さん、「ことばの作曲」。中村和恵さん、「土地は読まれなければならない」。山崎佳代子さん、「意味がひとつしかないこ…

潜水艦と厚い本

久しぶりのWC研。今日は大塚さんのナビでRichard Ayoadeの長編デビュー作Submarine(2010)を見る。アヨエイドとは風変わりな苗字。ノルウェー人を母に、ナイジェリア人を父にもつのだそうだ。思春期の少年オリバーの初恋と両親の不仲に悩む姿を描く。ぼくには…

どこいったん 絵本1

日常生活のなかで「朗読」といえばもうすぐ5才の息子への絵本の読み聞かせ。今日はたまたま中野図書館で、原るみさんがブログで紹介してたジョン・クラッセン作、長谷川義史訳『どこいったん』を見つけた。関西弁による翻訳。夕方帰って息子に読んであげたと…

久しぶりの会合

グリッサン輪読会、今夜は充実したメンバーが顔をそろえた。マルティニク&パリで2年間の研究生活を終えて帰国した中村さん、京都の山に陣地を構えた大辻さん、博士論文を終えて世界をとびまわる鵜戸さん、早稲田で新しいステップを踏み出す早川さん、これか…

フォークナー・メモ1

スノープス3部作を読むことにした。まず『村』The Hamlet(1940)から。田中久男訳、冨山房のフォークナー全集15巻によった。フォークナーの描くアメリカ南部のプア・ホワイトたちの農村社会は、歴史的には南北戦争の敗者の世界。時代設定は1902‐8年頃。スノー…

Keith Jarrett / Rio

音楽はi podやカーステレオで聴き流すことがほとんどの日常生活。でも敬愛するキースの新譜だけは例外で、最初は必ず家のメインのシステムで聴くことにしている。スピーカーに向かって集中して音楽を聴く時間がない日々、昨年11月に買ったCD2枚組のソロアル…

柴又にて

柴又にて勤め先の部署の打ち上げ。なんとか1年を乗り切った。帝釈天から矢切りの渡しまで散歩(残念ながら楽しみにしていた渡し船は動いていなかった)してから創業220年の川魚料理の老舗「川甚」へ。鉄筋ビルだけれど古風な雰囲気でなかなかよかった。川甚…

チェルノブイリから26年

渋谷のUPLINKXでゲイハルター監督『プリピャチ』(1999)を観る。1986年のチャルノブイリの事故から12年後、発電所から4kmのところにある街、プリピャチを描くドキュメンタリー。かつては原発関係の仕事で栄えたがいまは廃墟と化した立ち入り制限地区に自主…

発表会

目白でカルミナ・ミュージック・アンサンブルのワークショップとミニ・コンサート。13世紀フランスの作曲家アダム・ド・ラ・アルの音楽劇『ロバンとマリオン』より3声の歌曲をみんなで。その他にIrish Jigでピアノを弾き(途中ちょっとブギウギ風にした。ア…

ファイン・アートな午後

午後、休暇を取って美術展3連発。 まずは銀座、宮坂画廊にて荻原克哉個展。テンペラの新作はいつになく明るくポップな(失礼!)色彩感が楽しい。春が近いなあ。ポップなんて軽い言葉を使ってしまったが、彼の精密で繊細な線描と色合いの上品さは比類がない…

ティム・インゴルド講演会

駒場18号館にてティム・インゴルドの「生=線 linesを巡って」と題する講演会を聴く。ベルグソニストであるインゴルドは自らチェロを弾き、パウル・クレーを好む。人類学者としての「物質」に対する態度を基本に、哲学やアートも視野に収める。学者であると…

カリブからの風

3つのテクスト。ひとつはダニー・ラファリエール「生きることは、書くこと」(『環』2012 winter vol.48)、立花英裕先生によるインタヴュー。1953年、ハイチ・ポルトープランス生まれでモントリオール、マイアミで創作活動をする「亡命」作家。大学に行かず…

社会にとって美とは何か

2月3日、グリッサンが逝去してから1年がたった。本当にあっというまの1年だった。地震と原発事故があり、糧を得る仕事の環境が一変し、身体が不調の兆しを示し始め、息子はどんどん育っていった。敵と味方でしか人間関係をはかろうとしない冷徹な橋下旋風が…

Portraits展&ブラジルの話2

仕事が早くひけたので日本橋高島屋の美術画廊へ。14人の写真家によるPORTRAITS展。ポートレートという角度からアイデンティティへのさまざまなアプローチする。多くの作家が当然のことながら「顔」にフォーカスするなかで、電車の移動とともにぶれて流れる顔…

凍てついた冬の日が続く。しかし少しづつ日が長くなってきた。澄み切った夜が降りてくる頃、お皿のような三日月の左に、金星がお皿からこぼれた金平糖のように輝いていた。「世界各地を巡り、芸術はつくるものではなく、植物が生えるようにその土地から生ま…

ブラジルの話

西麻布のRainiy Day Bookstore & Cafeで旦敬介×港千尋×管啓次郎のトークショー。管さんの文庫版『コロンブスの犬』出版記念イベントで、そこに収録された港さんの写真展でもある。80年代、冒険の青春を送った3人の話しは凄く面白かった。同時に自分の80年代…

スクラップ・ブックから

去年から部屋のなかに散乱していた朝日新聞の切り抜きをスクラップ・ブックに整理した。いくつかの印象に残った記事。 2011年11月3日、韓国の指揮者チョン・ミョンフンへのインタビュー「音楽は政治を変えるか」。彼は北朝鮮と韓国の合同オーケストラの実現…

宮澤賢治のほうに

管啓次郎プロデュースによる古川日出男のCDブック『春の先の春へ』を聴く。1月5日、湯田中の温泉宿の吹雪の夜に無言でテクストを読んだ。そして今日は朗読を聴いた。12月24日のサラヴァ東京の、あの鬼気迫る渾身のライブを思い出す。というより、あのライブ…

ひと区切り

ここ1カ月ほど根をつめていた翻訳のゲラ直しが終わる。あとは使えるシロモノになっていることを願うばかりだ。とにかくほっと一息ついて、おととい卒業生のパーティ―に出る前に渋谷のタワーレコードで買ったCD『エディ・ルイス・トリオ』を聴く。1968年の録…