潜水艦と厚い本

 久しぶりのWC研。今日は大塚さんのナビでRichard Ayoadeの長編デビュー作Submarine(2010)を見る。アヨエイドとは風変わりな苗字。ノルウェー人を母に、ナイジェリア人を父にもつのだそうだ。思春期の少年オリバーの初恋と両親の不仲に悩む姿を描く。ぼくにはコミカル・タッチだと受け取れた。字幕なしではとうてい聞きとれない弾丸のような早口で理屈っぽいオリバーの台詞は彼の心の呟きがそのまま表面化している感じがする。意識の下に沈んでいる(べき)ものが水面すれすれに浮上してくるような。ちょっとウディ・アレンを思い出す。それにしても寒々としたウェールズの風景が美しかった。同じ主題でも都市が舞台だったらぼくにはつまらないだろうな。広々とした自然を舞台にしたゴージャスな(?)フィルムだ。研究会のあと神田の古本屋をぶらつく。シャモワゾーの『カリブ海偽典』を見つけたので、えいやっと買う。定価より1100円安かったけれど、やはり高価な買い物だ。机の横にレヴィ・ストロースの『蜜から灰へ』、クルツィウスの『ヨーロッパ文学とラテン中世』に重ねて積む。これで読みさしの弁当箱のように厚い本が3冊になってしまった。うーん...。