宮澤賢治のほうに

管啓次郎プロデュースによる古川日出男のCDブック『春の先の春へ』を聴く。1月5日、湯田中の温泉宿の吹雪の夜に無言でテクストを読んだ。そして今日は朗読を聴いた。12月24日のサラヴァ東京の、あの鬼気迫る渾身のライブを思い出す。というより、あのライブの余韻はずーっと自分のなかに棲みついているのだ。抑制の効いたスタジオ録音、ライブの声の奔流と歌と音響の交響体(小島ケイタニーラブの音楽は本当に効果的だった)、文字テクストの黙読、さまざまな反復を通じて立ちあがってくる宮澤賢治。そうだ、練馬の家に置いてある『日本の詩歌』を取りに行こう。宮澤賢治にぼくは出会い、古川日出男という夜汽車に乗って東北に向かう。