ミヒャエル・エンデ『モモ』

毎年ティーン・エイジャーに紹介する一冊の本。昨年度は木村友祐『聖地Cs』だったが、今年は『モモ』にした。こんな具合。
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―――2015年はドイツの偉大なる児童文学者、ミヒャエル・エンデの没後20周年ということで、1973年に書かれた傑作『モモ』を推薦します。円形劇場の廃墟に住み着いた少女モモは「人の話を聴く力」を備えていて、彼女と会って話す人はだれでもモモが好きになる。ところがある日、「時間貯蓄銀行」からやってきた「灰色の男たち」が、モモたちの「時間」を奪おうとする。モモは灰色の男たちに立ち向かわなくてはならなくなる…。大人になる直前の君たちへ送る哲学的ファンタジー。子供の頃読んだことのある人も、もういっぺん読んでごらん。そして、モモが立ち向かう相手がいったい何かを考えてみよう。そのへんのヒントとなる本をもう一冊紹介。石田英敬『自分と未来のつくり方』(岩波ジュニア選書)。あっとおどろく「モモ」の読解からこの本は始まる。―――
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ところで先日、エンデが最晩年を過ごした病院で音楽療法士として勤めていた、あるライアー奏者のすばらしい演奏を聴く機会があった。エンデの枕元には聖書とルドルフ・シュタイナーの著作があったそうだ。『モモ』はとても美しく挑発的な時間論である。