キース・ジャレット・トリオ

うなだれて帰った。不安だったが、やはりその通りだった。キースにはもうオーチャード・ホールいっぱいに音楽を響かせるエネルギーはなかった。PAを使ったら、あるいはもっと小さい箱で聴いたらひょっとして違って聞こえたかもしれない。ジャック・デジョネットのドラムスがうつろに客席に反響していた...。リズムも数えるところがあり、転びそうになるときさえあった。ピアノの音は小さく打鍵にも力がない。かつての魔術的な煌めきは影をひそめてしまった。嗚呼。3枚組のCD『Testament』(2009)のタイトルは字義通りに受け止めなければならないのだろうか...。キースよ、老けるのはまだ早過ぎるじゃないか! オーネット・コールマンとの共演を果たしてほしい。