生のかたち

午前中、プールで子守。泳ぎ終わったあと脱衣所の洗面台でいつまでも水を流して遊んでいて「もう終わりだよ」と言っても聞かない息子を真剣に怒る。3才でこれだ、先が思いやられる。
午後は仕方のない用事で九段下、日本教育会館に缶詰。途中頭がぼーっとして中抜けして喫茶店で一休み。
夜、大泉学園ゆめりあホール。柳瀬由紀、作品発表会。池下和彦「母の詩集」による連作歌曲の夕べ。ピアノ伴奏のバリトン独唱。認知症の母親を苦労して介護していた作曲家が、同じく認知症の母親の介護を歌った詩に出会い、そこから33篇の作品が生まれた。重い主題である。病状が進行するにつれて母親は子供に帰って行く。絶望、静かな悲しみ、優しさ、狂乱、ユーモア…。病の告知による悲痛なショックで始まる音楽は、しかしさまざまな感情の襞に揺れながら、次第に静まり、透き通って行く。介護の日々の営みが過度の叫びにも過度の美化にも収斂することなく、ずっしりとした生の重みとして伝わって来る。生きることの意味に触れる音楽的時間。