ケイジャン&ブードゥー

 WC研、大辻さんのナビで「アメリカ地域」に延びる「フランス語圏文化」のふたつの様相を見る。丁寧なレジュメが勉強になり、ありがたい。
 ひとつはFlaherty監督のLuisiana Story(1948)米78分。合衆国南部ルイジアナのバイユーを舞台にした「ドキュメンタリー」映画。沼沢地帯の自然描写が美しい。フランス入植者の末裔であるケイジャンの家族がクローズアップされる。アライグマは実にかわいい。でもケイジャンの生活風俗へのつっこみは物足りず、さらに石油会社のスポンサーがついているせいか、石油掘削に対するエコロジカルな批判も皆無。「レイチェル・カーソン以前」の「荒々しい自然を征服する機械文明と開発の勝利」を素直に謳いあげる、ある意味で幸福な映画。それにしても、バイユーに行きたい!!絶対行くぞ、そのうちに。音楽でいえば、フィドル主体のケイジャンよりも、黒人文化と混血したアコーディオンによるザディゴを聞きたい。なんてったってクリフトン・シェニエなのだ。
 二本目は伝説のロシア人マヤ・デレンが撮ったハイチ、ブードゥーの儀式のフィルムを3人目の日系人の夫テイジ・イトウが編集した貴重なDinine Horsemen: The Living Gods of Haiti (1985)米52分。憑依して踊りまくる人々や生贄となる鶏やヤギや牛の姿を捉えた生々しい記録。『鏡の中のマヤ・デレン』もそのうち見てみよう。