グリッサン追悼2

2月4日Le Mondeのルネ・ド・セカッティによる追悼文。まさにグリッサンは自らの個人性に閉じ籠ることのない「分有と抵抗」の作家であった。「普遍的モデルの偽りの透明性」に抵抗する「不透明さ」の価値を語り続けた彼は「ウォルコットより詩人ではなく、シャモワゾーより小説家ではなく、セゼールより政治家ではないが、まぎれもなく彼らの中でもっとも哲学者」であったのだ。彼はつねに主体の立ち上がりと想像力の連帯について語り続けたのだった。
        ★
アニエス・ベーのサイトに再アップされた映像を見る。2003年6月12日のベネチア・ビエンナーレでのスピーチ。そこでもグリッサンは、自分は個人的な事柄を書くことに興味がない、と語る。「振動の思考」など彼の晩年の哲学エッセンスが凝縮された15分である。英語字幕がついていて、グリッサン入門にうってつけのテクストである。タイプに打って教材にできるなと思ったが、春から僕のまわりにはおそらくそのレベルの生徒はいない。