東京ジャーミーのスーフィー映画祭

 ここのところ東京ジャーミーにご縁がある。トルコと日本の交流100周年に当たる今年、8月下旬の1週間カッパドキアから来た数人の高校生の東京滞在をコーディネートして、最終日にここを訪れた。代々木上原のモスクのことは知っていたが、そのなかに入るのはこれが初めてだった。美しいモスクだ。トルコの学校ではイスラムの礼拝に関してはかなりの個人裁量が許されていて、先生とともに礼拝する生徒もいれば、そうでない生徒もいる。スカーフを付ける生徒もいればそうでない生徒もいる。ハラルフードショップで大はしゃぎの高校生からいろいろ教えてもらった。引率されたのが世界史の先生でスーフィズムの価値を力説されていたので、書籍コーナーに並ぶ井筒俊彦全集や山本直輝さんの『スーフィズムとは何か』を紹介するとみな感じ入っていた。

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 NZから帰ったあと、Facebookスーフィー映画祭を知り、再び東京ジャーミーを訪れた。2日間でキュルシャット・クスバスKürşat Kızbaz監督の作品8本が上映される。21日は授業を終えてから駆けつけた。駅南口にちょいといい感じの喫茶店を見つけアイスコーヒー(旨い!)を飲んで一休み。16時半から Rumi ‘The Dance of Love’ (2008)を見る。13世紀イスラム神秘主義最大の詩人ルーミー(トルコではMevlânaと呼ばれる)を紹介するフィルムである。旋回舞踏の修行で知られるメヴレヴィー教団の始祖メヴラーナの生涯とその価値を語るさまざまな研究者のコメントで構成されていた。22日は13時半よりYunus Emre ‘The Voice of Love’ (2014)を観る。こちらは13世紀の偉大なる哲学者・詩人ユヌス・エムレを紹介する。現世の愛と神への愛の葛藤の物語、崇高な愛の哲学が語られた。両作品上映のあと監督が舞台に登場し、フロアとの質疑応答に応えてくれた。イスラームにおける修行道、スーフィズムの敷居をまたいだ貴重な2日間だった。来年はトルコ行きかな。イスタンブールカッパドキア、コンヤ。映画のあと、代々木上原から笹塚まで、なぜか中の島ブルースが脳裏に浮かび鼻歌を歌いながら夕暮れの街を歩いた。この界隈は久しぶりで懐かしい。