周美玲『流麻溝十五号』を観る

早起きして9時より新宿シネマートで映画を見る。日本統治のあと、蒋介石による白色テロの時代、台湾沖の小島、火焼島=緑島の「新生訓導処」に収容された三人の女性「政治犯」のさまざまな「抵抗」の姿を描く物語。英語タイトルはUntold Her Story。三人のコントラストがとても良かった。日本語、台湾語、北京語、英語、日本語などが交錯し、状況に応じて瞬時に切り替えられる中に幾重にも堆積された支配・被支配の構造が立ち現れる。今では民主的で多様性が尊重される台湾という土地の歴史の暗部を辿る貴重な機会となった。重い物語の中にいくつかの光が差し込む。「この歴史は非常に残酷で辛い歴史でありながら、憎しみという感情を強調しないということ」を考えたと監督は語る。太平洋戦争に終止符が打たれたこの日に観るのに相応しいフィルムだった。