ハプスブルグ展&The Outline

 六本木、新国立美術館でハプスブルグ展を見る。ウィーン美術史美術館とブダペスト国立西洋美術館の所蔵品を中心にハプスブルグ家ゆかりの美術品を集めた展覧会。金曜の午前中というのに大混雑。内容は予想以上の充実ぶりで、ヨーロッパ油彩画をたっぷり味わえた。13世紀に勃興し20世紀初頭までヨーロッパを支配したハプスブルグ家の足跡を辿りながらその膨大な美術コレクションを鑑賞すれば、否応なしにヨーロッパ美学の引力に引きずり込まれる。アンドレアス・メラーの筆による《11歳のマリア・テレジア》の肖像は妖艶。ティントレットやベラスケスらの名作はもちろんすばらしい。でも一番好きなのはフランドル派の風景画。ヤン・ブリューゲルの《森の風景》、ロイスダールの《渡し船のある川の風景》の前でしばし佇み、その風景のポエジーのなかに遊ぶ。
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 午後は21_21 DESIGN SIGHTで深澤直人・藤井保―The Outlineを見る。世界的なプロダクトデザイナーである深澤氏の作品、そしてそれを撮影した藤井さんのプリントが展示されている。ライトやケータイ、椅子、バスタブ…シンプルに徹したストイックなフォルム。日用品たちはギャラリーのなかで輝いている。小さな壁掛け式のCDプレイヤーがほしくなった。藤井さんの写真集『二ライ カナイ』(リトルモア、1999年)を買って帰る。利尻、壱岐、波照間…日本の離党の自然と廃墟(廃棄)を撮ったすばらしい写真集だ。家の机の上に置いて、きっと疲れたときにパラパラとめくることになるだろう。