ここは誰の場所?

午後、家族で東京都現代美術館に出かけた。『ここはだれの場所?』展を見る。充実していた。ポーランド生まれのドイツのテキスタイル・デザイナー、ヨーガン・レールのインスタレーションに目を奪われる。石垣島で拾い集めたというプラスチックのゴミをきれいに彩色し、ランプやオブジェとして美しく空間を飾る。美しい海岸の写真とゴミが漂着した海岸の写真をペアにした展示。壁に点々と打ちつけられたぼろぼろのビーチサンダル。それらのメッセージは強烈である。見る者は、ゴミから生まれたオブジェの美しさを通して破壊されつつある環境の実態に思いを馳せる。このアンビバレンスが彼の戦略である。70年代から表参道に「ヨーガンレール」ブランドを立ち上げたアーティストは、石垣島にも住居をもち、その砂浜に細かいプラスチックの破片が混ざっている現実に茫然とする。ぼくらは、美を通じて環境問題に向き合う。ヨーガンは昨年石垣島で亡くなった。このインスタレーションは誰が完成させたのだろうか。
そして、会田誠。例の「檄文」と安倍首相のパロディ映像作品を見る。美術館側が撤去を要請し撤回したことが話題になった展示である。檄文を読んで思わず笑ってしまった。まったくその通りだなあ。高校の先生だったらみんな見に来るといいよ。アルフレッド&イザベルの段ボールを用いたミニチュア・ビルディングは「千と千尋の神隠し」の湯殿を思い出してノスタルジーに浸った。さまざまなメディアを駆使した作品から、「公共空間」について考えさせられた。その意味を立ち上げるのは、ぼくたち自身である。息子は「子供しか入れない展示スペース」が面白かったそうだが、ほぼ、いっしょにやってた『きかんしゃトーマスとなかまたち展』にもってかれてしまった。まあ、いいか。