横浜に「つむぎね」を聴きに行く

 地下鉄副都心線東横線が直結したので、家族3人でそれに乗って横浜へ。みなとみらい線馬車道駅下車、目指すはBankART Studio NYK。湾岸の大きな倉庫をアートスペースに改造したものだ。竹芝のギャラリー916を思い出す。曇り空で寒い。会場のそばのカフェではキースの映像とケルンが流れていた。外に出ると塩ビのパイプでできた大きな木琴(塩ビ琴か)が置いてある。フェルトのスリッパで叩くと音階が出る。3人でひとしきり遊んでから会場へ。コンクリートの空間の壁面は木組みのブロックで丸く覆い尽くされ、ところどころにキャンドルが灯る。
 3時をすこしまわったところで、つむぎね公演「わを」開演。20人ほどの男女が白いコスチュームで現れ、声とピアニカのパフォーマンスを80分ほど繰り広げた。すごく面白かった。
作曲家の宮内康乃さんを中心に2008年に結成されたグループ「つむぎね」。モダンな声明とでも言おうか、どこまでも長くのびてゆく声の束。音圧やニュアンス、微妙な音程の変化。リゲティのようでもある。面白いのは「シュ」「チッ」といった無声音を連鎖させるもの。「つむぎね」の声のパフォーマンスは、楽音や言語音声にこだわらず口腔と声帯震動を自由に使いさまざまな発声の技を総動員させる音の遊び。周到に組織化された音の構造体であるはずの音楽が、実にプリミティヴな身体表現の地平で成立するスリル。数人が輪になって行う声のキャッチボール・ゲームに息子は大喜び。ピアニカの合奏も圧巻。ライヒのようだ。よこてありささん、熱演でした。コンサートのあとは中華街へ。久しぶりに海員閣で海老そばとかた焼きそばを食べ、ビールを飲んで帰る。満足。