村野四郎記念館

暖かな土曜日。妻と妻のお母さんを連れて浅間山を散歩したあと、府中郷土の森美術館を訪れた。美術館は改装中だったが、旧府中尋常高等小学校の建物が企画展などの会場として整備されていて、その一角に偶然、村野四郎記念館を見つけた。村野四郎の詩を知ったのは高校の国語の教科書だった。そしてお気に入りの詩人のひとりになった。「さんたんたる鮟鱇」、「鹿」、「人工衛星の夜に」…。詩人はその創作活動のかたわら、65歳まで企業人として社会生活を送った。65歳まで、ぼくもあと2年だ。糧を得る仕事を終えたとき、自分には何も残っていないだろうな、それもまた、すがすがしいことなのかもしれない。家に帰ってから『日本の詩歌』第21巻を久しぶりに手に取った。金子光晴、吉田一穂、村野四郎、草野心平を収めた第21巻は何度も読み返した1冊。懐かしかった。