中島敦と土方久功展

 小春日和とまではいかないが、少し寒さも緩んだ日曜日、世田谷美術館までドライブ。道路も駐車場もガラガラで気持ちよい。ベビーシートで一眠りする間に薄暗い不思議な空間に連れてこられてしまった8ヶ月の息子は、好奇心に目をきょろきょろさせている。
 中島敦土方久功は1941年、日本の信託統治下にあったミクロネシアパラオに旅をする。胸を病んでいた中島は南洋の島での快復を願ったらしいが、旅の軌跡を辿ると、あんな体調であんな過酷な旅をして身体にいいわけがない。結局体調を悪化させ帰国し、翌年没する。昨年暮れから風邪をこじらせ気管支炎っぽい症状が続いているせいか、展示を見ているうちになんだか息苦しくなってきた。高校生のときに読んだきりの中島敦。再読してみるか...。
 土方ほうは、天真爛漫な絵画やレリーフや立体が楽しい。彼は野趣あふれる絵本もいくつか手がけた。『ぶたぶたくんのおかいもの』を買って帰る。
 楽園のイメージと日本の南洋政策に巻き込まれた歴史を持つパラオ。行ってみたくなった。