出発――6人のアーティストによる旅

夕方、恵比寿の写真美術館を初めて訪れる。石川直樹さんのガイドによる、充実した写真展だった。尾仲浩二の小さなスナップの連続。放浪の旅へのこだわり。スライドショー「フランスの犬」は音楽のよさもともなって思わず引きつけられた。さわひらきの「small metal goodsのためのmusic video」のスローモーションはゆったりとしたフライト時間の流れに誘う。百瀬俊哉によるデリー、カルカタ、ムンバイの「からっぽの風景」シリーズには意表をつかれた。人抜きのインドなど誰が想像できるだろう...。百々武の島旅。内藤さおりのまるで絵画のように淡くあざやかなリスボン風景。そして石川直樹の富士山! 手垢のついた被写体を新鮮な視点で捉えなおす作業。どの作品も「旅」の実践によってのみ可能になる魅力を湛えている。無性に旅に出たくなった。