フランシス・アリス展―ジブラルタル海峡編

 午後、東京都現代美術館へ。ようやくフランシス・アリス展を見ることができた。「川に着く前に橋を渡るな」(2008)のアクションの記録映像&ドローイング&インスタレーションジブラルタル海峡によって隔てられたアフリカとヨーロッパを「靴の船」を持った子供たちが「つなぐ」という「遊び」。おおきなスケールで解き放たれる想像力。海に砂の城をつくる「子供の遊び」シリーズにも目を引きつけられる。フランシス・アリスのアート・アクションはきわめて政治的ながらその核心部に「無心さ」があり、その無心さが何かを強く訴える。「遊び」はいろいろな解釈が可能だろう。「砂の城」から人間の無力さという批判的物語をよみとることもできる。かつてクリストは布で都市的形象物を包んだ。フランシス・アリスは人の鎖で広大な自然のなかに世界をつなぐ。