『時制論』朗読会 at ESPACE BIBLIO

管さんの新しいエッセー集『ストレンジオグラフィ』刊行記念イベントというので新著についてのお話しが聴けるのかと思って出かけたら、『時制論』朗読会だった。しかしドリアン助川さんと管さんの緩急自在の掛け合いは実によかった。耳を傾けているうちに、詩は万人によって書かれるべきだというロートレアモンの主張を思い出す。私たちの身の回りにあるさりげない言葉たちが放つイメージの喚起力。それを構成したのはまぎれもなくひとりの詩人なのだが、徹底的なマテリアリストを自称する詩人は、そうした日常の言葉を使って、時間と空間を自在に収縮させながら、詩の世界に読む者、聴く者を引きこんでゆく。そのやり方があまりにもスムーズなので、人は詩的空間にいることにと気づかないほどである。管さんの仕事は、難解さとは無縁の日本語による現代詩の最前線であると改めて思う。