後藤直子+ウィーン・ラズモフスキー弦楽四重奏団

座王子ホールにてモーツァルトのピアノ四重奏曲ト短調K.478とシューマンピアノ五重奏曲変ホ長調Op.44を聴く。両方とも初めて聴く曲で楽しかった。ピアノと弦楽四重奏はよく呼吸が合ってひとつに溶け合っている。特にシューマンが良かった。シューマンって本当に複雑でいろいろな音楽の要素がぎっしり詰まった重厚な作品を書く作曲家だと思う。ただ重かったり華麗だったり感傷的だったりするのではない。いつでもう複数の要素が絡み合って、そのひとつが暴走しようとすると巧みに他の要素がそれを引きとめるかのようだ。とくに最終楽章のフィナーレの二重フーガが圧巻だった。それからアンコールで演奏された「紅葉」の編曲(深川甫)が素晴らしかった!カノン風にメロディの出だしが楽器間に受け渡され、陰影の濃い繊細な和声づけを施されてゆらゆらと流れる音楽は散りゆく紅葉そのものだった。