PortB『東京ヘテロトピア』トークイベント

ラジオ片手に都内のさまざまな場所に赴き、そこでラジオから流れる物語を聴く。観客をツアーに動員し、作品のなかに取り込む画期的な高山明さんの「演劇作品」『東京ヘテロトピア』。そのパフォーマンスを体験してもいないのに、池袋芸術劇場のアトリエイーストにのこのこと出かけた。高山明×管啓次郎×小野正嗣トークショー。物語を担当された管さんと小野さんの話しは楽しくて、いろいろ考えさせられた。さまざまな場所の物語を聴くことで、その場所は特別なものになっていくのだろう。すると、その場所をブルトーザーでならしてしまうなどの暴力は許せなくなるだろう。それにしても、東京は広すぎるのではないか? この広さは何とかならないものか? でかすぎるんだよ...いろんなことをぼんやり考えながら話を聴いた。ドイツで西洋演劇と対峙したという高山さんのコンセプチュアルで思弁的な語り口は、なんというか、肌にあっている。アイデアを膨らませていく過程で「迷子」になりながらも「容器」として在り続ける、といったあたりが印象的だった。「迷子」で思い出した。車の免許をとったばかりのときのことだ。地図もろくに見ずにあちこち走り回って、どこにいるのかわからなくなるのが好きだった。その間、まるですごく遠くの土地に飛ばされた感じがしたものだった。そんな風にして迷子になるのを楽しんでいたのだった。