グアムと与那国

 今日はWC研ホスト。1本目はVanessa Warheit "The Insular Empire---America in the Mariana Islands" (2009)、59分。グアムの米軍統治をめぐるTVドキュメンタリー。去年春のグアム旅行のあとに知人から教えてもらったTVドキュメンタリー。チャモロ人からのグアムが見えた。最後に出てくる「闘志」の女性の言葉が一番力を帯びていた。独立?Commonwealth? 州昇格?しかしどの選択肢も問題を孕む。ジャマイカ出身のG.C.さんの語った「独立」の抱える厳しさの話はリアルだった。マルティニクの抱える問題はマリアナ諸島にも反響する。「その場所に立つこと」の難しさ。それは誰にも言えることなのだろう。プレゼンのために2冊の本に目を通した。中山京子/ロナルド・T・ラグニャ『入門グアム・チャモロの歴史と文化』(明石書店)はグアムに行く日本人観光客は必ず読むべきガイドブックだ。山口誠『グアムと日本人』(岩波新書)は、いかに太平洋戦争の記憶が埋め立てられ、タモン湾に日本資本のリゾート・ホテル街が出現したかを辿る。ひとつの戦後日本社会風俗史。めちゃ面白かった。このフィルムのプレゼンによって、あのグアム旅行はようやくひと段落した。
 2本目はユンカーマン監督『老人と海』、2010年ディレクターズ・カット版。99分は天国的な長さだった。坂田明佐藤允彦といったフリージャズの巨匠たちがBGMを担当する贅沢さ。あの82才のカジキマグロ漁師は最後は漁の最中に海で亡くなったという。フィルムは、そうした作品の枠外の情報とともに、そしてもちろんヘミングウェイの小説と反響しあうインターテクストとしてぼくらの前に意味を帯びて立ち現れる。