松本峻介展

松本峻介(1912-1948)は日本の近代洋画史に独特な地位を占める画家であるといわれる。生誕100年の今年、大規模な回顧展が世田谷美術館で開かれている。絶対行こうと思って楽しみにしていたがなかなか余裕がなく、ようやく今日足を運んだ。すばらしい作品群だった。ときとしてルオーやクレーを思わせるところもある松本峻介は線描家である。繊細な線。最初期から完璧な構図である。静かな絵だなと以前から思っていたのだが、中学生になるころ病気で聴覚を失ったことを初めて知る。それにしても、絵を描くという行為になんと寸分の疑いもなく没入した人だろうか。制作への情熱がどんな小品からも発散している。すごいなあ。夢と寂寥感に溢れる街や運河の風景。