エイミー・ベンダーの映画

今日のWC研はエイミー・ベンダーの『私自身の見えない徴』の映画化作品を観る。原題はAn Invisible Sign of My Own(2000)、管啓次郎訳は2006年に出た。たしかその年、来日したエイミーや管さん、吉本ばななさんらとの夕食会に招かれたのを覚えている。エイミー・ベンダーが描く世界はとても不思議で奇妙で切実である。映画の原題はAn Invisible Signだが日本発売のDVDタイトルは『ジェシカ・アルバの幸せの方程式』(マリリン・アグレロ監督、2011年)、これはちょっとねえ...。劇場未公開だったそうだが、エイミーの語り口が孕むディティールの異常さや独特な感性を映画にするのは並大抵の技ではないような気がする。 映画では主人公である若い小学校の算数の先生モナが、病気になった愛する父へのファーザーコンプレックスや自身の神経症を克服し、理科教師と一緒になり、母を失くした生徒リサを引きとるというわかりやすい筋書きだが、それは原作をかなり翻案している。でもジェシカ・アルバの雰囲気は小説のなかのモナのイメージとかなり近かった。映画だけ観ると???と感じる人も多かろうが、原作を読んでから観るとまた印象が変わって来るだろう。ぼくはわりと面白かったな。映画のあとはまた神保町のイカセンター(海鮮居酒屋)へ。ここはほんと旨いね。