アフリカのこれから

アフリカ51カ国の首脳が参加して横浜で開かれていた第5回アフリカ開発会議(TICAD5)が昨日閉幕した。このところ新聞にはアフリカに関する記事があふれた。その多くは「貿易相手国としての経済的将来性」を語る。そういえばこのまえ『アフリカ・パラダイス』の上映前CMに安倍首相が出てきてしきりにアフリカとのパートナー・シップを強調する様子に鼻白んだ。新たなビジネスチャンスとして人類発祥の大陸を狙う日本や中国。植民地主義の暴力の果てに1960年代にヨーロッパ近代の国家システムをモデルとして独立させられた結果、そのひずみとしてさまざまな紛争の苦しみを経たアフリカ。50年ののちに今度はグローバリズムの餌食とならないことを祈る。
 朝日新聞の記事のスクラップから。5月19日版GLOBEは読み応え十分の特集。いま授業でWangari Maathaiの物語を読んでいるので、マータイさんが開発に反対したナイロビのウフル・パークの荒れた様子や貧困問題に関するレポートは辛い。26日のアフリカ地図は見やすくて便利。サントメ・プリンシペという島国を知らなかった。同じ26日の「ニュースの本棚」、福島富士男さんの「アフリカ文学は戦う」でアフリカ文学入門だ。チュツオーラの『やし酒飲み』はむかしアンティーブの砂浜に寝っ転がってクノーの仏語訳を読んだっけ。ジオンゴやアディーチェを読まなくては。文学やアートを通じたアフリカへの接近を試みたい。グローバリズムの枠組みによって想像力を縛られないこと、さまざまな地場の文化、人々の生活とそれらの響合いを感じ取る想像力の開拓が重要なのだ。『ラマンタンの入江』(2005)に収録されたグリッサンの帝国論を訳読しながら痛切にそう思う。